マンション紛争を陳情・請願の審査除外見直しを求める陳情にみる大田区議会のまちづくりの意識と課題

大田区議会には、マンション紛争を私人間の争いとして審査対象外とする申し合わせがありますが、こうした申し合わせをしている議会は少数で、しかも明文化してHPに掲載し、区民からの申し出を、拒否している議会となると全国でも聞いたことがありません。建築紛争に関わる市民団体の全国組織「景観と住環境を考えるネットワーク」でも大田区のこの陳情の審査除外基準が問題であるとして、なんとか改善ができないかが話題になっています。

私たち議会は、区民は生活が脅かされるような困ったことが起きた際に、陳情・請願により、その求めうけ審議しています。

公序良俗に反する内容であれば審査除外は当然ですが、「マンション紛争等私人間で解決すべき内容を含む陳情」も審査対象から除外してしまえば、まちづくりにかかわり広く区民の意見をきくことができません。

建築に関わる規制は、この間大幅に緩和され、過去に建たなかった規模の開発が行われるようになっています。ある時私たちの生活空間に、それまででは想像できないような高さやボリュームの建物が建ち、あるいは、緑が伐採され、景観が壊されています。

現在の建築基準法や都市計画法だけでは開発から住民生活を守ることができないなか、自治体独自の条例を制定することにより住民生活守る取り組みも行われてきています。
 私たち大田区議会が、自治体として何をなすべきかを知るためにも議員としては当然のこと、区議会としても区民の声に積極的に耳を傾けるべきで、それこそが議会の責務です。

 議会は立法機関であり、条例を制定する権限を持ちます。ところが、マンション紛争等私人間で解決すべき内容を含む陳情を審査除外基準とすれば、まちづくりに関わる大田区のいくつかの条例のどこに不備があり、どこを改正すべきか、あるいは、新たな条例で対応しなければならないのか広く区民の意見を聞くことができません。

しかもこの審査除外基準を定める理由には

「採択不採択の結論を得難く、そのほとんどが継続となっている」

と明記されていますが、継続となるから審査除外にすべき、というより、マンション紛争に関わり、その根底にある日本の建築・開発・都市計画に係る法令について大田区として判断を避けているというのが実態であり、議会の都合、あるいは、限界を区民の陳情を受け付けないことですませ区民の期待に応えないことは問題です。

議会の立法府としての責務を放棄することにもつながる問題で、陳情については採択を主張しましたが、自民党、民主党、公明党、みんなの党などの賛成多数で不採択となりました。