しかし、現在では、公用・公共用は、予定建築面積の2割にも満たない状況になっています。
大森北一丁開発(区有地=20億円相当)が、民間の商売のために使われてしまう理由は何かをもう一度検証してみましょう。
第三回定例会、そして、決算特別委員会において、公用・公共用目的で取得した大森北一丁目の土地のほとんどの部分が、結果として民間の商業施設になってしまうのはおかしいのではないかという視点で質問しました。
しかし、区は、たとえわずかでも公用・公共用目的があれば良い。商業施設をテナントとしておきこみ「にぎわいを創出する」と言っています。
商業テナントを入れることが、区が、区民の税金20億円を投入してまで行う事業であると言えるでしょうか。
当該地が、商業採算のとれる立地であれば、民間が土地を取得し、自らリスクをとって商売を行えば良いのです。たとえ、民間相場並みで賃貸したとしても、自治体が土地を20億もかけて取得して行う事業ではありません。
また、自治法で、余裕床の賃貸は認めていますが、大森北一開発の民間賃貸部分が、果たして余裕床であると言えるのでしょうか。
そもそも、これまで、区が移転するとしていた大田北地域行政センターを置きこまない理由が理由として成り立っているのかという問題があります。
【大田北地域行政センターをおきこまない理由】
◆理由その1
職員の駐輪台数が多く大森の駐輪対策にならない。
◇疑問点
現北行政センターは、ターミナル駅から遠いのですが、大森駅近くになれば、これまで自転車で登庁していた職員も、歩いたり、バスやJR等を利用するようになって自転車利用台数が減る可能性があります。
来庁者が利用する自転車の駐輪については、商業施設もその施設の利用者が自転車でくるのですから同じことになります。
職員の通勤への自転車利用を制限するのもひとつの方法であり、これを北行政センターが移転しない理由としてあげるのはどうでしょうか。
◆理由その2
まちなみ整備課は車の出入りが多く、地域(商店街)に迷惑をかけるので、移転しないが、行政センターは一体であるべき。
◇疑問点
そもそも、まちなみ整備課が使用している車の台数は3台。大森北一開発は、現状駐車場として利用されているため、現在の駐車場以上に車の出入りが多くなることは考えられません。
◆理由その3
まちのにぎわいを創出するため
◇疑問点
土地交換の目的は公用・公共用利用。にぎわいは、必ずしも民間だけが作るものではなく、公共ニーズに対応することで創出できます。
だいたい、現在行政の言っている「にぎわい」の基準も無く、商業施設を置きこめばにぎわうのであれば、既に、そうした業種は試みられているのではないでしょうか。
大森北一開発に置きこむ施設については、地域住民などがワークショップを開いて数々の公用・公共用ニーズをあげています。高齢者、子育て支援、障がい者支援や教育など、必要な施設は数多くあります。
仮に北行政センターを置きこまないと判断したとしても、即、商業テナントスペースになってしまうのはおかしな話で、当然、他のどの公共ニーズを満たすことが適当か検討するのではないでしょうか。
委員会において、副区長は、公共ニーズは無いと答弁していますが、それを区民の前で言うことができるのでしょうか。
しかも、50年間の定期借地権を締結しますので、大森北の区有地を今後50年間区が使用することはできず、50年間、大森に公共ニーズは生まれないと宣言しているようなものです。
これらのどの理由も、20億かけて土地取得してまで行うと、区民、そして議会に説明してきた事業を撤回する理由にはなっていないのではないでしょうか。
また、同時にこれらの理由は、計画当初から予測できたことであり、検討の結果の移転であるはずです。今更、移転撤回の理由としてあげてくるには無理があります。
こうした理由を検証していると、余裕床では無く、北行政センターを置きこまないことで、余裕床を作ったと表現した方が適切に思えます。
残念ながら、現在の区議会でこのような視点を持って発言しているのはほんの一部の議員だけです。
区民のみなさんは、このような区の方針変更をどのように思われますか?