空き住戸があるにも関わらず、入居者募集を行わない大田区内の都営住宅

大田区下丸子の都営住宅は、空き住戸が26戸もあるにもかかわらず、長期間(2年以上)入居募集を行っていません。

 老朽化に伴う改修や建て替えのため、積極的に募集を行っていないのであれば、そのような説明をすべきですが、住民にそうした説明は、いっさい行われていません。

 都営住宅は大勢の方たちが入居を希望していて、入居者は抽選により決められています。毎回、入居倍率も数十倍を超える高倍率で、都営住宅を始めとした公共住宅へのニーズは、非常に高い状況です。
 
 そうした中、都民の財産を、住民にも、大田区にもその理由を明らかにしないまま、活用せず放置しています。

 私が、大田区を通じて、現状確認を行ったところ、大田区に対しては、東京都は、「工事を行う予定であったが住民から理解を得られていないため工事が中断している。そのため入居募集できない」と説明したそうです。

 この工事は、過去に私が指摘したひる石=飛散性アスベストのことを意味するのでしょうか。それとも、別の工事のことでしょうか。

【関連記事】
◆都営住宅のひる石=飛散性アスベストの問題についての2006年12月18日活動報告
◆都営住宅の天井吹き付け材=飛散性アスベスト含有調査結果についての2007年1月11日活動報告 

 当時、アスベストセンターとともに、東京都と東京都住宅供給公社と話し合った際には、ひる石は飛散性アスベストあり、本来は、石綿障害予防規則にのっとり、また、東京都の環境条例に基づき、住民や工事従事者が吸い込むことの無いよう工事をしなければならないことを確認しています。

 その結果、下丸子で行う予定だった工事は中止されそのまま今日に至っているわけです。
 
 ひる石が存在した都営住宅99戸のうち、すでに囲い込み工事が終了している98戸はどのような工事方法がとられたのでしょうか。

 そして、なぜ、その後も下丸子の都営住宅だけが工事を行わずにいたのでしょうか。

 その後、東京都と都営住宅26万戸を管理する東京都住宅供給公社との懇談の場が持たれましたが、双方ともに担当がかわり、また、東京都住宅供給公社は組織が変わると共に担当も変わった。
 ・当時どこまで話し合ったか明らかになっていない
 ・要望を聞きたい
という説明でした。

 現在、98戸の工事方法について、東京都に調査を依頼しているところです。

 これまでも重ねてお話ししてきていますが、これまでのアスベストの被害は、生産段階での被害でした。
 すでに、アスベストは、使用禁止になり、今後、生産段階で新たにアスベストを吸い込む可能性は、ほとんどなくなりました。

 一方で、今後、私たちが防止しなければならないのが、新たな被害者を作らないことです。新たな被害者を作らないとは、すでに、私たちの身の回りに普及しているアスベストを吸い込むことがないようにすることです。

 特に、建物に使用されているアスベストの安全な除去・改修・解体が重要になります。

 過去に、アスベストの被害者を出してきた自治体の中には、それを教訓として、アスベスト飛散予防対策に力を入れています。
 そのため、工事、解体事業者も、十分な対策のとられた工事を行う傾向にありますが、そうした対策のとられない自治体の工事は、概して、粗悪なものになりがちです。

 特に、自治体が発注する、係るアスベスト工事は、民間事業者の工事水準を左右する非常に重要な意味合いを持つのです。

 都営住宅のひる石対策については、内容が明らかになり次第、順次報告します。

 
 

なかのひと