大田区のまちづくりにおける課題からみた「(改定)大田区都市計画マスタープラン」に必要なこと(その②)【質問と答弁】

大田区議会第四回定例会一般質問より(その②)

【質問①】

 現行の「都市マス」についての評価、達成できたことできなかったこと、そしてできなかったとすればその主な理由をどのように分析していますか。

 また、改定作業の初めには、現時点での区として現行「都市マス」が掲げた諸課題に対する進捗状況、到達点を明らかにするとともに、今後の解決へむけての改善すべき方策の考え方を整理・公表し問題提起すべきと考えるがいかがでしょうか。

【大田区の答弁①】
 
 現行の「都市マス」に掲げた諸課題の進捗状況、到達点及び今後の解決に向け改善すべき方策の考え方の整理、公表について、お答えいたします。

 先ほどお話がございましたとおり、今年度から、現行の「都市マス」の改定作業に着手したところであります。
 現行の「都市マス」に掲げた諸課題に対一する進捗状況、到達点及び今後の解決に向け改善すべき方策の考え方の整理等については、その改定作業において、検証していく予定です。

 現時点で、現行の都市マスに掲げた目標の実現した一例として「地域の特徴に応じた拠点づくり」の中では、東急「大岡山駅」周辺地域における、まちづくりへの取組み等を、成果として挙げられます。
 また、このほか、「水と緑の環境保全とネットワーク化」の項目においては、田園調布せせらぎ公園の整備。
 また、「空港との近接性を活かした商業業務の中心拠点づくり」の項目は、蒲田保健所跡地を活用した都市の拠点機能の強化。
 さらに、「スポーツ・レクリエーションの拠点の整備」の項目は、大田体育館の建替え。
といったところが一例としてあげられます。

 続きまして、お尋ねの、現行の「都市マス」の評価で達成できなかったこと、あるいは、できなかった場合はその理由の分析について、お答えします。
 現行の都市マス策定後、当該都市マスに掲げた目指すべき都市の将来像の実現に向けて、関係各課におきまして取組みを実施してきております。
 計画期間が現行の都市マスは32年でございますので、まだ途中、半ばでございます。計画期問の満了は迎えておりませんが、現行の都市マスの役割は果たしてきたものと、とらえております。
 いずれにいたしましても、今後、現行の「都市マス」の評価及び達成度等について分析等を行い、大田区都市計画審議会委員による、都市マス改定委員会の専門的な見地からの評価・指導・助言を受けつつ、改定を進めてまいります

*答弁についての奈須のコメント*
 
 現行の都市マスに掲げた目標の実現した例として区が答弁したのは、

①東急「大岡山駅」周辺地域における、まちづくりへの取組み=駅前広場の整備。
②田園調布せせらぎ公園の整備=用地を購入し公園整備。
③蒲田保健所跡地を活用した都市の拠点機能の強化
④大田体育館の建替え

 ①から④まで、いずれも、土木、建設による整備・開発で、評価する部分もありますが、「都市マス」の目標を実現できたのが、これだけというのでは、余りにもお粗末です。

 唯一、区有地をタネ地として再開発を予定していた③の蒲田保健所跡地を活用した都市拠点機能の強化も、共同で開発を予定していた地権者は既に街区の所有地を手放し、ホテル開発が行われています。
 区有地を20年の定期借地権で民間開発させた当初の目的は達成されず、単に、区有地を貸し出しスポーツクラブとスーパーマーケットの入ったテナントビルが建設されたことが「都市マス」の成果になるのでしょうか。失敗例といっても良い事例です。

 また、「現行都市マス」について、区は、役割を果たしていて、達成できていないのは、期間終了前であるからとしていますが、それでは、改定する必要性が無いと言っているのと同様です。

 また、今後、「現行都市マス」の評価・達成度の分析を行っていくと答弁しましたが、「現行都市マス」が役割を果たしていて、「現行都市マス」の評価・達成度の分析はこれからということになると、一体どこから改定の必要性がでてきたのでしょうか。

 次回の報告から、大田区のまちづくりにおける課題について、具体的事例をあげながら、検証していきます。


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