その手段として、「政策変更」を行う、こうした一連の過程において元国立市長上原弘子さんが行ったことが「不法行為」となり、数千万円の損害賠償を請求されました。
元国立市長上原弘子さんと言えば、国立の景観をめぐるマンション紛争に積極的に取り組んだ市長として有名です。
国立のマンション紛争とは、国立市の高さ20mの並木を超えるマンション等計画に対して、あちこちで住民との間におきた紛争です。
早くから危機感を抱いた上原公子元市長は、地区計画条例を制定し、マンションの高さ制限を図りました。
その後、判断が法廷の場に持ち込まれ、一連の裁判は、最高裁において、敗訴したものの、その後の「景観法」制定の原動力となったとも言われています。
上原元市長は、その任を降りた後に、市長在任中に行った行為について、市長個人として市民から損害賠償を請求を受け、東京地方裁判所は、これを認め、その後、国立市が控訴を取り下げたため一審判決が確定しています。
現在、元国立市長上原弘子さんは、現在、国立市から3123万9726円の支払いを求められています。
政治家の「政策変更」はどこまで個人的責任が問われるものでしょうか。
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市民の願いを受け止め、実現するために、一生懸命がんばった市長が数千万円の賠償を請求されるのでは、自治体首長はどのような仕事をすれば良いのでしょうか。
現在全国の弁護士さん、38人で弁護団ができていますが全てボランティアです。
事務処理だけでも大変な負担がかかっているようです。
是非裁判支援のカンパをお願いします。
銀行名 三井住友銀行 国立支店
口座番号 8013369
名義 国立大学通り景観市民の会 代表 上原公子
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■少し詳しい背景について■
最高裁で国立市側が敗訴になった後、事業者が、国立市を相手に条例の無効と損害賠償を請求する裁判を起こします。
この裁判において、国立市が敗訴し損害賠償金等3123万9726円を支払う結果となりました。(事業者は損害賠償を求めるのは本心では無かったとしてとしてその同額を国立市に寄付しています)
ところが、その後、この賠償額は、上原元市長個人の「不法行為」によるのだから、個人として賠償すべきであるとして3123万9726円を請求せよという訴訟が起こされます。
東京地方裁判所は訴えを認め、その後の市長選挙で市長が交代したため、国立市が控訴を取り下げ、一審判決が確定しました。
市長個人が賠償を負うには、上原市長の行動が国家賠償法
①故意又は過失によって違法に他人に損害を加えた時
②重体な過失があった時
に該当しなければなりません。
五十嵐敬喜 前内閣参与 法政大学法学部教授は、『世界7月号:政治家の不法行為責任とは』の中で、下記のように述べています。
近代国家=法治国家において、従来の政策を変更し、新しい政策を作ることは容易でないと指摘し、政策変更のためには、いくつものプロセスを経なければならず、そのたびごとに既得権者による抵抗が強くなる。
上記指摘を、変わらなければならないにもかかわらず、変わることが出来ない、変えることができない現状に照らし合わせて考えれば、今回の判決に、ある種の閉塞感を持たざるをえません。
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裁判所は次に掲げる上原元市長の行為について下段のように解釈しています。
(前述五十嵐教授『世界7月号:政治家の不法行為責任とは』より一部抜粋)
【1】「三井不動産マンション懇談会での発言により建築反対運動が広がった」
strong>殊更、本件建物の建築計画と行政における建築阻止の困難性を述べ、本件建物の建築反対運動を広げた
【2】国立市をして「自主的対応を期待する」から条例制定の方策に変更させ、条例を成立させた
強い意向を9示して、国立市をして本建築計画及び本件条例の制定という方策に変更させるとともに、本件建物の工事着工前の制定を目指してみずから積極的にその準備行為をした
【3】 「違法建築物である」旨の議会答弁
判決が確定していないのに、これを引用しながら、本件建物が違法建物である旨答弁した
【4】 「都知事に対する電気、ガス及び水道の供給留保の働きかけ、さらに本件建物の検査済み証の交付に抗議したことが広く報道された」
建築計画そのもには中止を求めうるだけの法令違反が存在しないことを十分に知りながら、建築指導事務所長に本件建物が違反建築物であることを前提に建築句あん人申請をするよう求めたり、建物の一部に、電気ガス等の供給承諾を留保するよう都知事に働きかけたりするだけでなく、完成後においても自ら率先して検査済証を交付したことに抗議した