大田区の小中学校給食牛乳が紙パックになっている理由

大田区の小中学校の給食牛乳は、紙パックです。

LCAの観点から学校給食における牛乳は、ビン牛乳を採用するよう提案してきた生活者ネットワークですが、平成11年には23区中2区だけだった紙パックが今では12区とほぼ半分を占めるようになっています

今日は給食牛乳に見るゴミの問題です。

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リユースビンのリサイクル費用は¥30。うち事業者負担は¥30。
ワンウエイビンの処理費用は¥41。うち事業者負担は¥25。差額の¥16は税金で負担しています。

結果、事業者は自己負担が少ない使い捨て容器を選ぶようになります。

1973年に7:3だったリユースビンとワンウエイビンの割合は、1985年3:7。1992年には2:8になっています。

私たちの身の回りからLCA評価(ライフサイクルアセスメント:その製品に関する資源の採取から製造、使用、廃棄、輸送など全ての段階を通して環境影響を定量的、客観的に評価する手法)の高いリユースビンは姿を消しつつあります。

学校給食の牛乳は、東京23区をいくつかのブロックに分け、牛乳事業者の入札を行っているそうです。
大田区は品川区と同じブロックで入札を行い、メグミルク(日本ミルクコミュニティー)が落札しています。メグミルクの(給食向け)工場にはビン牛乳のラインが無いため、大田区の小中学校の給食牛乳は紙パックなのだそうです。

平成11年当時から、常に紙パックの事業者が大田区と品川区の学校牛乳の落札してきたということのようです。

大田から東京都に確認していただいたところ、仮に、大田区がビン牛乳を選ぶのであれば、入札ではなく、独自に牛乳業者を見つけてくることになり、国からでている1本当り30銭(平成23年度)の補助金がなぜかもらえなくなってしまうのだそうです。

平成11年に生活者ネットワークが紙パックではなくビンの牛乳に変えられないかと当時の議員が議会質問したところ、LCAの観点から紙パックのほうが良いと答弁していたのには驚きましたが、こうした入札のしくみについて一切触れていなかったのも意外でした。

一方で、大田区の保育園でも牛乳を出しています。保育園の給食は公費です。大田区の保育園の牛乳は区内業者から1リットルパックの牛乳を購入しています。

学校給食の給食費の未納が話題になると必ず指摘されるのが、給食費は私費なので、行政として関与できないと言う考え方です。
公費扱いの保育園給食は、自治体裁量の随意契約で保育園ごとの納入業者も異なり、私費扱いなのに品川区と大田区は一括入札。

学校給食が、私費なのに、「入札」に「補助金」と行政が深く関わっているのも不思議です。

確かに、学校牛乳に関しては使用済みの紙パックは、事業者が持ち帰るなど、事業者が責任を負っているわけですが、政策入札の視点で環境負荷のかからないビン牛乳を入札条件とするという視点があっても良いのではないでしょうか。

学校給食をビン牛乳にすることで、工場のラインが確保されれば、ビン牛乳の販売が適当な場所には、ビン牛乳が普及するでしょう。

紙パックのラインは、学校牛乳以外の市場においては、自治体に税負担を強いているわけで、リユースびんの普及を行政が後押しするという考え方は必要であると考えます。