自然の圧倒的な力に、権力闘争は、なお空虚に感じられます。
そして、私たちが一番必要としていることに改めて気付かされます。
大田区の平成23年度予算に反対した理由は、まさに、今の大田区政が、最も大切な生活課題を先送りし、空港跡地開発や駅前再開発に目が向いているからでした。
今、大田区に求められていることは何でしょうか。
予算に反対した討論を掲載します。
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まちで話していて感じるのは政治への圧倒的な不信です。
日本が築きあげてきた様々なシステムが時代の変化とともに機能しなくなっているにもかかわらずそれを変えることが出来ずにいるからです。
そして、変えることができない理由が単なる困難だけではなく、政治家、官僚、大企業の既得権が透けて見えるからです。
それでは、これは、国政だけに起きている特別な問題でしょうか。大田区政は、別であると言えるしょうか。
議員内閣制と言う国会内の最大多数派から内閣総理大臣を選ぶ国政と二元代表制という2つの別の選挙で選ばれた区長と議会の議員で構成される地方政治とはシステムが全く異なります。
しかし、行われているのは国の政治のまねごとです。
■なぜ、今、地方分権なのか■
地方分権、地域主権と言われています。
国が一律に精度を作り地域がそれに従うのではなく、地域自らが速やかに地域課題に取り組める仕組みが地方分権です。
しかし、大田区政は、未だに国の政治システムから抜け出せず、国の政策を模倣するばかりで自ら、積極的に地域課題を解決しようとしていません。
■変わりゆく大田区とその課題■
昨年10月の国勢調査の結果、大田区では人口が増えていることもあり、危機感が少ないのかもしれません。
しかし、地方の先進的な都市では既に住民獲得競争が起き、そのための戦略的なまちづくりを始めている自治体も現れてきています。
戸建て住宅を整備し子育て世代を誘導したり独身賃貸住宅居住者などターゲットを明確に絞り込み、まちづくり政策を行って功を奏しているそうです。
それでは、大田区は、都心という立地に甘んじていて良いのでしょうか。何もせず、このままで、大田区に住んでいただいている方に住み続けていただくこと、これから住む場所として大田区を選んでいただくことが出来るでしょうか。今がそうでも、将来にわたりそうであると言えるでしょうか。
既に、大田区においても様々な変化が現われてきています。
■生産年齢人口減■
生産年齢人口が人口減に先駆けて起こっています。1995年と2005年で比較したところ、東京都でも△6.4%。団塊世代退職後の2010年の統計を見れば更に生産年齢人口が減る傾向が著しくなることが予測されます。
■空家率増■
大田区の空家率は2005年のデータで14%。昨年は首都圏のマンション販売件数が5年ぶりに対前年比22.4%と増えています。更に空家率は高くなったと言えるでしょう。結果として競争力の無い物件が空家になっていくことが想像できますが、マンションの空き室が増えれば、管理費の徴収につながり、スラム化も予想されます。既に、マンションのスラム化が顕在化している地域も出てきています。
■就業者数増■
また就業者数も、23区の就業者数減が著しくなっています。大田区は職住接近と言われてきましたが1995年から2005年の間に区内就業者数は41千人減少しています。このデータには派遣やパート労働者も含まれています。
それ加えて国勢調査の結果では単身世帯も増えています。昨年無縁社会が大きな話題を呼びましたが、データでも示された形です。
こうした大きな社会変革は大田区の政策立案の際の課題として認識されているのでしょうか。
大田区を住みたいまちにしていくための方策はどれほど講じられているでしょうか。