大森北一丁目開発の事業者選定が行われました。
公共目的で土地交換を行い取得した大森駅近くの土地ですが、区は、公共目的に優先し、商業のにぎわいのために活用すると方針変更しました。
区が公共需要に優先した「にぎわい」とは一体なんだったのでしょうか。
大田北地域行政センター移転という公共需要に優先し、商業による賑わい創出を選択した大森北一丁目開発の事業者選定が行われました。
賑わいという事業目的に対し、
●どのような提案がなされたのか
●それらの提案を区がどのように評価し選定したのか
●賑わいを50年間と言う長期間にわたり継続することをどのように契約に盛り込むのか
●区の地代と床面積に対する賃貸料はどうなっているのか
・・・など、事業者選定にあたってはきわめて基本的な問題ですが、残念ながら、開発対策特別委員会においてさえ、応募事業者の「著作権」を楯にして十分な資料提供がなされませんでした。
これまで、大田区の保育園の民間委託や図書館の指定管理者募集において、応募書類に「著作権」が発生したという事例を私は知りません。
市民事業のアイディアを企業が盗んでしまうといった問題に対して「著作権」で対応しなければならないといった課題はありますが、これまで、大田区では、そうした取り組みはなされていません。
また、委員会時に、委員には、選定事業者の応募書類の閲覧は許されましたが、その後開示請求したところ、選定外の事業者と同様全面非開示になりました。
応募書類全て全面非開示ではなく、せめて部分開示は出来なかったのでしょうか。
既に、委員会において閲覧した公文書を全面非開示にする正当な理由が見当たりません。
このような事業者選定において「著作権」などの範囲は、アイディアなど限定的なものにするべきです。
今回、区は、著作権を応募者に帰属するとした募集要項により、選定にあたっての地代など基本的事項の公開を拒んでいます。こうした姿勢で、行政の透明性を確保することはできません。
そこで、区が設定した著作権の範囲について質問しましたが、区は、著作権の範囲さえ示すことができませんでした。これでは、公開を阻むために「著作権」という言葉を使ったと言わざるを得ません。
昨年、12月に、関連省庁連絡会議申し合わせで「行政文書の管理の徹底について」
の文書がだされました。
この中には、
意思決定ならびに事務および事業の実績については軽微なものを除き文書を作成することを徹底する。特に、政策の決定およびその敬意などに関しては所用の文書を作成することの徹底を図る
と記されています。
情報公開法第一条に記されている、
文書管理の目的である、行政機関の保有する情報の一層の公開をはかり、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の元にある公正で民主的な行政の推進に資する
ことが、再度、確認されたかたちになっています。
大田区の土地活用のあり方について、大きな議論をよんだ、大森北一開発は、事業者選定で終わりではなく、ようやく、これから50年間の契約が始まろうとしています。
事業は、50年間継続するのです。
土地交換をするに至った当初からの、例えば、数度にわたり行われた北一開発の委託調査報告書や選定委員会の議事録などの一連の文書は、事業の継続している50年間は、活用されている文書であり、廃棄の対象にはならないはずです。
当然、50年後の区民に対して説明責任を果たすためにも保存しなくてはならないと考えますが、本件の一連の文書の保存開始年月日はいつになり、何年保存になるのか具体的に質問しましたが、区は、契約文書のみの保存を言及するに留まり、それに関る意思決定文書を保存すると答弁しませんでした。
保存出来ないほどに、都合の悪いものなのでしょうか。
50年間継続する区の事業の根拠となった文書保存さえできない区の姿勢は、情報公開法第一条に従った区政運営であるとは到底言えません。
5月20日には、基本協定が締結されました。
区はにぎわいを担保するためのしくみとして協定書を締結すると説明してきましたが、協定書には、「地域活性化・にぎわいに寄与することを目的とした事業実施に相互に協力する」としか記載されていません。
しかも、この協定書は、事業契約が交わされる11月末以降に期限がきれると明記されています。
20億円相当以上も区民の税金を投入して土地を取得し、更に、50年間家賃2000万円を支払い、「にぎわい」という公共目的で行われるのは、飲食店や居酒屋などが入ることが想定されるテナントビルになってしまっています。
区民の財産である大田区の土地活用は、これで本当によかったのでしょうか。