点検当時は、蒲田駅のエレベーター設置も課題のひとつでしたが、現在工事中で、この4月には設置の予定で、課題がひとつだけクリアしました。
一日の乗降客5000人以上の駅に対しバリアフリーを推進するよう規定した交通バリアフリー法ができたことにより、現在、各地で駅のバリアフリー化が進められています。
しかし、ホームから改札口までのバリアフリーが整えられれば、それでバリアは除去されたのかといえばそうではありません。
蒲田駅も、ホームから改札口までは自由に通行できますが、そこから、東西口に出るためには、まだ、いくつかの課題が残されています。
1.東口に出る際に使用する段差解消機は、管理者立会いの下でなければ運転ができない。エレベーターのように利用者が単独で使用できるようにしたい。
2.改札口から東西に出るためには、駅ビルのエレベーターを使用しなければならないが、駅ビルのエレベーターの使用可能時間は限られていて、車いすで始発から終電まで鉄道を利用することができない。鉄道運転中は、車いすでの乗降を可能にしてほしい。
今回の勉強会では、特に、1.の段差解消機の利用者単独使用の可能性について、当事者・メーカー・弁護士・行政など様々な立場からお話をいただきました。
実際に、段差解消機利用者が単独で運転するためには、安全性を確保した機器を設置しなければなりませんが、
【法規上の問題】
・機器設置当時(平成11年)は、建築基準法により、単独使用ができなかった。その後(平成12年)、旧建設省の告示により、安全面を確保(条項により規定)すれば、現在では単独使用も可能。
【メーカーの問題】
・安全性を確保できるメーカーが少ない
・コストがかかる
【設置者の問題】
・使用に際しての万が一の事故
といった、問題によって、この蒲田に設置されている段差解消機にかかわらず、公共では、単独で運転できる段差解消機は無かったようです。東京都に問い合わせをし、紹介された段差解消機も、実際に行ってみると駅員の立会いの下運転されていました。
せっかくの建設省の告示が生かされていない現状を変えていくためには、当事者の声が一番重要です。観光列車に車いす用のトイレが無いと訴訟を起こしたところ、勝訴はしなかったものの、その列車には、車いすトイレが設置されたそうです。
訴訟をするしないではありませんが、広く、状況を知ってもらうことが大切であると思います。
これまで、こうした、公共に設置されている機器に対して、当事者が声を上げていく機会が少なかったように思います。実際、メーカーにとっての顧客が利用者ではなく納入者になっているという実態もあります。
作ればよいのでは無く、使い勝手のよい状況を作っていくために何をすればよいのか。
段差解消機の問題に限らず、バリアを無くすことの意味をもう一度考え直さなければなりません。