日本経済新聞2009年4月1日「低所得者お産ピンチ」の記事から

大田区の出産について考える

日経の社会面を読んだ友人から、その後が気になるので調べてほしいと電話が入りました。
 生活保護を受けている妊婦の出産する病院が減っているという記事の中で、大田区の生活保護を受けている方が、出産先を見つけられずに困っていたという記事です。

 記事の概要は、だいたい次の通りです。
【2009年4月1日/日本経済新聞社会面より】
 経済的に苦しい人の出産費用を国や自治体が負担する「入院助産制度」の利用者を受け入れる病院が減っている。利用者が増加傾向にある中、産科医不足で自治体が認定する病院が産科を休止。特定の病院に予約が集中し妊婦が受け入れてもらえない。
 こうした状況を背景に、大田区の生活保護を受ける妊婦が、「助産制度」の適用を区に相談したが、都内が満床でどこも断られ、川崎の病院に相談したがそこもいっぱいだった。

という。
 結局その方が、出産する先を見つけることができたのかどうか曖昧な記事だったため、友人は非常に気になったらしい。

 調べたところ、相談を受けた方の出産先は確保されているという回答を得ました。

 ほっとしたものの、新聞記事によれば、東京都内に51ある「入院助産制度」の認可施設のうち、9施設が受け入れを休止しているといいます。
 
 病院は、休止の理由を
 ①医者が見つからない
 ②病院側の利益にならない
 としています。
 記事で、元ケースワーカーの渋谷哲淑徳大准教授(公的扶助)が
「補助金額の増額のほか出産を健康保険の対象にするなど、幅広い対応策が求められる」
と、指摘されていますが、現在の出産に関わる状況や少子化、経済悪化を考えると、出産制度そのものについて、考え直す時期にきていると感じます。

 現在、大田区には、妊婦健康診査を14回まで助成する制度があります。
 
 この制度がスタートしたときに、私は、毎回の検診費用が、無料になるのかと思っていましが、妊娠した友人が、毎回、1万円弱支払っていると聞き、驚きました。

 今回、この妊婦健康診査の助成制度について担当者に確認したところ、区が助成するのは、

 ○初回は¥7500。
 ○2回から14回までは¥5000円。
 母子保健法に基づく検査項目が対象だそうです。

 そのため、検査対象項目以外の費用は助成されません。また、妊婦検診は基本的にん、自由診療で健康保険の対象になっていないため料金設定も、診療所ごとに異なっているそうです。

 区内の場合には、受診票を妊婦さんに渡すため、妊婦さんがいくら支払っているのか、区で把握できません。一方、里帰り出産の場合、いくら支払ったかみてみると、診療所ごとにばらばらで、概して地方の方が安いそうです。

 
 妊婦検診の無料化が議論されています。
 現在の制度のままで無料化しても、対象項目以外の検診料は、負担するわけですから、低所得者が妊婦検診から更に遠のく可能性は無いでしょうか。

 一方で、一昨年の秋から診療を休止していた荏原病院の産科ですが、分娩予約・妊婦健診予約を4月13日から開始するそうです

 10月分娩予定の方からで、月20名程度だそうですが、地域病院に産科が復活することは喜ばしいことです。


なかのひと