都営住宅の天井吹付け材(吹付けひる石)の含有物調査結果(第一次)
都営住宅の天井吹付け材(ひる石)の含有物調査結果(第二次)
HPに掲載されている調査結果によれば、調査対象の都営住宅2909棟のうち第一次869棟中38棟、第二次1354棟中61棟の天井吹付け材に1%を超えるアスベストが含有しています。(残り686棟についての結果は未発表)
この結果を受け、東京都では、アスベストの含有が判明した吹付けひる石については、万全を期すためボード張りによる囲い込み工事を行う。工事は速やかに実施し、平成18年度中に完了予定。としています。
大田区下丸子・板橋区蓮根の都営住宅のひる石(飛散性アスベスト)の囲い込み工事では、ひる石の吹き付けられた天井に穴を開けるなど、法令を守らずアスベストの飛散の恐れのある工事が行われたことが、住民の方の調査により明らかになっています。
現在、下丸子の都営住宅については、工事をストップし、法令を遵守しアスベストを飛散させない方法をとるための検討を行っています。
1月9日(火)、この都営住宅のひる石囲い込み工事について、東京都住宅供給公社(住宅公社)と自治会・住民の皆さん、アスベストセンターの事務局長と私とで懇談会を行いました。
その席において、住宅公社は、ひる石はアスベスト含有建材(レベル3)の扱いであり、飛散性アスベストではないと言っていますが、この認識は誤りです。
そもそも、囲い込み工事は飛散性アスベストに対し行われるもので、含有建材に囲い込みは不要です。囲い込み工事を採用していることは、ひる石が飛散性アスベストであると言っているということで、公社のひる石に対する認識と囲い込み工事を行うということには矛盾があります。
ひる石の場合、飛散性アスベストのなかでも、比較的安定したアスベストであり、劣化しておらず飛散の恐れが無いのであれば、飛散に対する対策や認識が不十分な状態で囲い込みや除去工事を行うより触らないほうが良いとされています。
たとえば、熊本県では熊本県の県有施設におけるアスベスト除去等対策方針を設け、飛散の可能性の少ないひる石については、工事を行わないなどひる石についての取り扱いを明確にしています。
昨年には法令がかわり、含有率が0.1%以上が飛散性アスベストの対象になっていることも考慮すれば、2909棟中99棟の対象住戸もさらに増えることが予想されます。飛散性アスベストであるひる石に対する不十分な認識の下、アスベストを飛散させ作業者や住民が吸い込むがあってはなりません。
そのためにも、都営住宅の管理主体である東京都都市整備局がひる石(飛散性アスベスト)に対する十分な認識を持ち、管理を委託している東京都住宅整備公社に対して指導を行っていくことが重要です。
大田区の区営住宅においても感じましたが、管理委託を行うことにより、責任の所在があいまいで、どこが決めそれをどのように支持しているのかわかりにくくなります。
大田区では、東京都住宅公社が区営住宅の維持管理を(指定管理者として)行っていますが、その選定理由は、区営受託に対する知識が豊富なことです。
都営住宅への対応をみていると結局、大田区の場合、区が主導となったことで適切なアスベスト対策をとることができたわけで、東京都住宅公社の専門知識にも疑問が残ります。