懇談の場に同席したのは、大森南の住民、中皮腫・じん肺アスベストセンター、そして、議員有志です。
懇談の目的は
①なぜ、飛散防止対策を取らずに工事を行ってしまったのか。
②今後の防止策
の二点でした。
■飛散防止策をとらず掘削した理由■
①事前の10mピッチでの土壌調査の結果、アスベストが検出されなかったところの10m四方については土壌入れ替え工事を行う予定が無かった。
②そのため、事業者が事前報告無く掘削してしまった。
しかし、
③結果、無かったとされる今回掘削した箇所からもアスベストがみつかった。
④今後は、全てアスベストがあるものとして、湿潤(水をかける飛散防止策)して作業する。
とのことでした。
今回のことは、連絡体制の不一致であり、事業者と区の認識が一致していなかった。工事開始前に安全対策を講じるとしています。
■懇談により判明した問題■
〜土壌調査した地点だけの除去で良いのか〜
区は、土壌調査してアスベストが見つかった箇所の土壌のみを、その地層ごと入れ替えると説明しましたが、調査を行ったのは基本的に10mごとのピンポイントでしか無く、その間の部分がどのようになっているかは全くわかりません。
特に、今回は、なぜそこにアスベストが存在するのかが判明していませんので、どこからでてきてもおかしくないという姿勢で処理する必要があります。
しかも、そうした中で、ある部分は、密閉して除去。他の部分は水をかけるだけと分けていますが、今回、無かったとされる部分からアスベストが見つかっており、掘り起こしてみたら、大量のアスベストが出てくることも考えられるのでは無いでしょうか。
〜工事の工程表さえ提出されていない〜
区は、事業者が掘削することを把握していませんでしたが、そもそも、区に事前に提出されるはずの詳細な週間工程表が提出されていませんでした。
しかも、区は、ストップしていた土壌入れ替え工事を10月27日から再開することを許可しましたが、懇談を行った27日午後の時点で工程表の提出はされたいませんでした。区の管理体制に問題があり起きた事故であることがわかりますが、改善策も講じられていませんでした。
〜入札発注書の趣旨が活かされていない〜
入札仕様書には、石綿作業主任者を配置できる事業者であることが定めされています。しかし、現場に石綿作業主任者が不在の時に事故がおきています。安全なアスベスト処理を行うための入札の趣旨が活かされていませんでした。
〜入札仕様書が守られていない〜
また、発注書には、作業者に教育を行うと共に、その現場をビデオで撮影するとしていましたが、工事がすでに開始されているにも関わらず教育は行われていませんでした。
本来であれば、飛散防止策をとらずアスベストの混ざった土壌を掘削した事実と今後の改善策について、住民説明会を開催すべきですが、今後の安全策を明らかにすることなく工事は再開しています。
アスベストは目に見えない物質であり、仮にいま吸い込んだとしても発症は20年から40年先であることが、問題認識を甘くしているとは言えないでしょうか。
工事作業は、柵の中で一見すると外から見ることはできません。
周辺住民、作業従事者が吸い込むこのと無い安全な工事がはたして行われるでしょうか。