GRIは、Global Reporting Initiativeの頭文字をとったもので、この「企業の社会的責任報告書」について、全世界で通用するガイドラインを立案するということを目的に、米国のNGOでセリーズ原則を策定したCERES(CERES: Coalition for Environmentally Responsible Economies)や国連環境計画(UNEP)が中心になって1997年秋にNPOとして設立されました。世界各地の企業・NGO・コンサルタント・会計士団体・事業者団体等多様なステークホルダーがGRIに参加しています。
【CSRからSRへ】
一方で、企業の社会的責任(CSR)から、社会的責任は、企業だけに課せられるものではなく、団体・個人・行政など、全ての主体が担うべきものであるという考え方にかわってきています。今や、CSR(企業の社会的責任)ではなく、主体に係らず、社会的責任は発生するという考えから、SR(社会的責任)の時代になっています。
2002年に行われたヨハネスブルグサミットでは、国だけでなく国際機関、地方公共団体、NGO(Nongovernmental organization 非政府組織)、企業などが同じ立場の参加主体として関わり、それぞれ自主的に持続可能な開発のための具体的なプロジェクトの実行を宣言しました。そして、これらを取りまとめた「約束文書」が作成されました。今後は、各主体が宣言した取り組みを具体的に実行していくことが重要となっています。
このように、国際的にも、持続可能な社会の構築に向けての足元からの取り組みがすでに始まっています。
【視察目的】
一方、公共サービスが行政の独占領域だった時代から、大田区でも、区民・NPO・企業など多様な主体が、参画と協働によって公共サービスを担う時代へと移行する過渡期に入っています。
行政とともに「新しい公共」の担い手となっていく企業・区民・NPOなどが、今後、どのように「新しい公共」をつくりあげていくのか。持続可能な社会を構築するための自治体におけるSRの可能性を探るため、視察先にGRIを選びました。