少子高齢化に伴う大田区の学校施設の有効活用について

大田区議会第四回定例会一般質問より

   少子高齢化、人口減少社会到来と言われながら、実は区政において、大きな施策転換は行われていないのが実情です。

少子高齢化とその先に待っている人口減少は、そのままでは、否が応でも自治体財政の悪化をもたらします。これまでと同様の財政配分をしていれば必ず需給バランスは崩れ、効率的な区政運営はかないません。

 そこで、今回は、学校施設について検証してみました。

なお、本議会において、私は、教育委員会の学校ごと学級数生徒数の資料を議場で、議員と理事者(区役所の部長以上管理職)に配布しました。
 予算・決算委員会では資料を配布の例はあるものの(これも私が初めて行ったのですが)本会議は大田区議会で初めてだったそうです。 

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 第四回定例会一般質問より。
 

私の提案により行った区立保育園定員の見直しは、大田区の公共施設の有効活用の視点で大きな成果であったと思います。目の前の区民ニーズをかなえられるのは国ではなく、身近な自治体であることを示すことができました。

 さて、今日は、保育園に続き、小中学校の施設について検証しました。

■データで見る少子化=大田区立小中学校の現場から■

 お手元に、資料請求して出てきた昭和47年から平成22年までの大田区の小中学校の生徒数を配布させていただきました。

 昭和55年小学校
 昭和55年中学校
 平成22年小学校
 平成22年中学校 

 少子化が進んでいると言われていますが、実際にデータでみるとその急激な変化に驚きます。
 この資料のピークである昭和55年には小学校の学級数は1397。中学校は519でしたが、現在は小学校888。中学校306。小学校で509学級減少、中学校では213学級減少と大幅に減っています。この30年の間に大田区で実に722学級もの教室がホームルームとして使用されなくなっているのです。

 一方で、少人数学級導入により、今後、小学校で141学級、中学で37学級が増えるという試算がでていることもお聞きしています。
 それでも、579の学級が少子化により30年の間に減ってきているのです。

 確かに、この間、教育内容も大きく変わり、コンピュータ学習など特定目的のための教室確保が求められてきているのも事実です。また、防災のため、学校が拠点となり備蓄倉庫として教室を使用している事例もあります。

 しかし、それでは、この30年の間に転用されてきたこれら722の教室は、全て、教育ニーズから転用されてきたと言えるでしょうか。

■少子化の区内地域間格差■

 学級数の変化には地域性があるため、多く減っている学校では、18学級から6学級に12学級。32学級から18学級に14学級に減っている小学校や、30学級から12学級に18学級減っている中学校がある一方、ほとんど減っていない学校もあります。

 学級数が多く減っている学校は、多目的室や学習室などをいくつも持っていますが、減っていない学校にはそうした教室はありません。第二音楽室や第二社会科室も必要かもしれませんが、公教育において、それが必要であれば、学校ごと第二音楽室や社会課室が有ったりなかったりすることが本当に子どもたちのために良いのか疑問も残ります。
 第二音楽室や第二社会課室、学習室が学級数が多く減っている学校に配置されていることからも、こうした教室がその必要性から作られたというより、子どもが減り教室が余ったのでそう使っているといった事情が透けて見えます。

 この間子どもの数は、76,381人から38,785人と半減しています。大田区がこの間廃校にしたのはわずか2校ですから、地域や学校による差はあるもののマクロ的に見れば子どもの数の減少に対し、学校施設は以前と比較し「余裕」をもってきたと言えるのではないでしょうか。そして、当面、大田区は、学校統廃合の計画は無いのです。

 
■学校施設は「学校教育」のためだけに使われるべきか■

 教育と一言で言ってもその範囲は広く、子どもが身につけ学ぶべきことが教科書からの学習だけでないところは周知のとおりです。一方で、地域での子どもをめぐる課題は多岐にわたり、それをすべて行政と言う枠組みの中で解決することがますます困難になってきています。
待機児対策、障害児の問題、学童、中高生の居場所、学習困難児、虐待、のびのび遊ぶ場の不足・・あげればきりがありません。

 狭義の意味での「学校教育」のためだけに学校施設は使われるべきでしょうか。

 これまでの学校施設は、確かに、文部科学省の定めた狭義の学習指導要領を行う場としての色合いが強かったわけですが、学習指導要領の内容も大きく変わるとともに、学校施設の使い方などについて国も柔軟な姿勢を見せてきています。

 もちろん、国が言うまでも無く、地域課題は地域資源を最大限に活用して解決することこそが、地方主権の本旨です、

 この減ってきた教室を大田区は積極的に有効活用に取り組むべきではないでしょうか。

■地域課題を市民が解決できるしくみづくり■

 そこで、重要なのは、行政が主体的に行うのではなく、地域課題を抽出し、解決するしくみについてNPOや市民団体など住民参加で取り組むということです。

 少子高齢化は、特に大田区のように、児童館、老人いこいの家等々、小さな特定目的の公共施設を多数持つ自治体には、財政的負担をもたらしていくでしょう。特定目的施設は世代交流も難しく設備更新にもお金がかかります。これまでも繰り返し述べているように施設の合築による複合的機能を持った施設への集約は欠かせません。

 こうした大きな流れを、学校と言う施設の中でも、実現していく必要があるのではないでしょうか。場合によっては建て替えの際の仮施設に転用するなど、維持管理費を抑制し施設更新を行うことも可能になりますがいかがでしょう。


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