お話し下さったのはNPO法人 ウイメンズネット・こうべ の正井礼子さん。
災害時に女性の視点が必要であることを学びました。
NPO法人 ウイメンズネット・こうべ の正井礼子さんは、阪神淡路大震災の経験から、「障がい者」「子ども」「高齢者」「外国人」などの視点での防災は語られながら、女性の視点での防災・復興対策が無いことに気づき、直後から、自らが支援を行うとともにその必要性をうったえる活動を行っています。
大都市災害の視点として非常に重要な、しかし、あまり語られることの無かった女性から見た防災対策の必要性についてお伺いしました。
震災で、数多くの方が犠牲になりましたが、震災では、男性より女性のほうが1000人多く無くなったことはあまり知らされていません。
その理由のひとつに、劣悪な住居環境にいた多くが女性であったということがあるそうです。
家賃8,000円から15,000円で住め、敷金も安いことから、多くの低所得者が文化宅と呼ばれる住宅に住んでいましたが、その木造文化住宅が倒壊し多くの犠牲を出したそうです。
防災対策には、高齢者や障がい者、こどもや外国人などへの問題もありますが、女性の視点からは、女性の老いの貧しさや母子家庭の貧困、パート労働者の厳しい環境、妊婦や乳幼児を抱えた女性たちの問題が見えてきたそうです。
また、震災後の避難所生活において、責任者は、男性だったため、運営に「暮らし」という視点が抜けていたことでの問題も多く有ったようです。
ハビタットの調査団が日本に来た際に、避難所の責任者に男性しかいなかったため、女性の問題がわからないと正井さんが呼ばれ、話をしたそうです。
(女性の地位向上を目的として、国連主催のもとに開かれてきた女性会議)2000年の北京会議では、インドネシアのスマトラ沖の地震の、医療体制の不十分な中での出産の確保の課題とともに、避難所での集団レイプや少女の性的暴力への対策が求められるなど、災害時の女性問題が取り上げられました。
海外や世界レベルでは語られる災害時の女性の問題ですが、阪神淡路大震災の際には、正井さんが、マスコミにうったえても、復興への明るい話題を取り上げがちであり、こうした深刻な面にスポットがあてられない傾向にあったそうです。
阪神淡路大震災のように、あれほどひどい災害でも、その直後に、男性は仕事に復帰してしまい、地域社会に取り残された女性が、災害の辛さを一人で抱え込んでしまうケースも少なくなかったようです。あまりにも会社優先社会であることが、女性への負担を大きくしたケースも有ったようです。
「地域防災計画」や「避難所の運営」に女性の視点を盛り込むことの大切さを学ぶことができました。
一方で、女性の視点での「相談体制」「情報提供」などが「エセナおおた」の役割であると正井さんはアドバイスなさっています。「エセナおおた」には、是非、こうした体制作りについても期待していきたいと思います。