これまでの6施設に加えた7番目の施設には、がれき類の破砕・加熱すりもみ処理をする施設の建設が予定されています。
都市生活におけるごみの問題は、単なるごみ処理にとどまらない、環境や経済活動のありかたまでが問われる大きな問題です。
産業廃棄物の処理については、中間処理施設などの場所の確保や不法投棄防止が大きな課題となっています。
特に、日本の人口の1/10が集中する東京、そして、約1/3が集中する東京近郊の産業廃棄物の処理は、他府県への不法投棄が絶えないこともあり、処分場の確保が緊急に求められています。
しかし、生活圏内に処分場を確保することは、用地の確保の問題とともに近隣住民の理解を得ることが困難なのが現状です。そのため、東京都では、港湾部の土地利用計画の中で住民のいない大田区城南島を産業廃棄物処理地域として位置づけ、スーパーエコタウン事業と称して産業廃棄物施設を集中させています。
今回の施設計画は、0.6haの敷地に述べ床面積1860㎡の建物を建て、建築物解体に伴うがれきやトンネル工事によって排出される泥土を処理します。
今回の施設建設に伴い次のような問題点が考えられます。
①トラックの搬入台数の増加に伴う環境への影響と渋滞の悪化
②建設現場からのがれき類へのアスベスト建材の混入
そして、これらは、これまでのスーパーエコタウン事業の都市計画決定の際に大田区から東京都へ要望している事項でもあります。しかし、大田区から東京都に対し、公式に要望を行ってきたにもかかわらず、これらへの対策は全くと言って良いほどとられていないことが、今回の新たな施設建設計画説明会からもわかりました。
今回の建設リサイクル施設設置に伴い、トラックの搬入台数の増加は一日あたり500台を超えます。一施設あたりの増加台数は、周辺通行台数の数パーセントと軽微であるというのが東京都の認識ですが、少しなら良いという認識がある限り環境改善は望めません。
こうした環境問題の問題もありますが、それでは、臨海部に処理施設を設置すれば、産業廃棄物の問題は解決するのでしょうか。
廃棄物対策の最大の方策は、発生抑制。つまりは、ごみを出さないことにあり、長く使える建物こそが、廃棄物対策、そして、環境への負荷や資源の有効活用からも効果的です。
しかし、最近では、マンションの建て替え決議を簡素化するなど、建設から建て替えまでを短期化する方向に法律改正が進められている傾向にあります。超高層マンションの建設ラッシュが続く首都圏ですが、既に、建てた超高層マンションのスラム化危惧を切り口に、建て替え決議のまとまりにくい状況を予見した建て替え要件緩和の動きもあります。
不法投棄や廃棄物の適正処理は大きな課題ですが、出口対策のみに終始し、排出抑制に取り組まない、現在の廃棄物対策の姿勢では、廃棄物問題はいつになっても解決しません。