上程された議案の中に、大田区のごみを収集する小型プレス車4台を購入する議案がありました。
これまでは賛成してきた議案ですが、以下のような視点から、今回は、反対しました。
以下に、臨時会で行った反対討論を掲載します。
大田生活者ネットワーク奈須りえです。第58号議案「小型プレス車4台の購入について」に反対の立場から討論します。
この議案は、大田区が平成21年度内に使用期限を迎えるとして清掃車両の代替用の小型プレス車4台を2,914万2,456円で購入する議案です。
【大田区が集めるゴミと民間が集めるゴミ】
今回、区が購入する小型プレス車は、ごみを収集するために大田区の職員が運転するいわゆる「直営車」と呼ばれている車です。
一方で、大田区のごみの一部は、「雇上(ようじょう)会社」と言われている民間の清掃会社に委託しています。こちらの民間委託の車は、民間事業者が購入し、民間事業者が運転手を雇い、区職員である収集職員が同乗して収集・運搬事業を行っています。
区の直営車両と民間の雇上会社の車両の割合は、東京都が清掃事業を担ってきた時代から引き継がれている区1/3民2/3という比率に準じて、現在も収集が行われています。
大田区が、小型プレス車の購入をするということは、大田区の直営車が今後も引き続き継続することを意味することでもありますが、果たして、大田区に、ごみ収集における、官民のありかたについての明確な方針があるでしょうか。
【区清掃職員不補充の影響と今後の清掃事業の在り方】
現在、大田区では、清掃事業が東京都から大田区に移管された平成14年以来、清掃職員の採用をしていません。道路公園管理に従事していた職員の清掃事業への配置転換などもあり、職員数は、一時的に増えてきたという経緯もありますが、今後も採用を見送れば、近い将来収集作業に影響がでることは明らかです。
【ゴミ量減とそれに伴う今後の収集体制は?】
ごみ量も、平成19年10月からプラスチックを可燃ゴミにしたことにより、ごみ量が増えていますが、それ以前は、一貫して減り続けています。
また、大田区は、先日、いったん可燃ごみに変えた容器包装プラスチックを平成24年度から、資源として収集する計画であることを公表しました。ごみとして収集しているプラスチックが資源になれば、ごみはさらに減ることが予想されます。
プレス車購入に、こうしたごみ量の減が反映されているのでしょうか。無駄な車両を購入してきてはいないでしょうか。
【今こそ、大田区の収集体制を示す時】
職員数が減り、ごみ量も減少している、いまこそ、大田区が今後の収集体制を明確に示す時ではないでしょうか。
一方、現在、大田区の小型プレス車の買い替え年数は、6年です。
使用済みの車は、入札により売却されていますが、たとえば、平成20年度の売却先は大田区の資源を収集しているリサイクル事業協同組合でした。
大田区内の資源を収集する事業者が、直営の使用済みとされているプレス車を使用できるのであれば、大田区の清掃車も耐用年数を延ばし、有効活用することはできないのでしょうか。
また、そうした、検討はしてきているのでしょうか。
一方で、東京23区の清掃車には、特殊な機能がついていて、その仕様の特殊さが指摘されることがあります。清潔に、安全に収集することが大前提ですが、仮に、行きすぎた仕様の特殊性があるとするならば、新たな民間事業者参入への障壁になる恐れもあります。
他自治体、民間事業者に不要だが23区にだけ必要な特殊性とはいったい何なのか今一度大田区として検討する必要があるのではないでしょうか。
大田区のごみ収集についての官民の在り方や効率的・安定的・経済的な収集体制についての明確な方針策定があって初めてプレス車購入の是非は判断できます。
一日も早い方針策定と、区民の税金を使って購入する清掃車両の有効活用を要望し、今回のプレス車の購入の議案に反対致します。