行政主導で行われている災害廃棄物処理決定ですが、意思決定の所在が非常にあいまいです。
例えば、東京都が宮城県女川町の受け入れ表明しましたが、公表されている基本合意は、23区区長会と東京都市長会、女川町、東京都、宮城県で締結されています。
実際に、焼却をする施設は、23区であれば、東京二十三区清掃一部事務組合であり、市部であれば、各市や広域処理をしていれば広域連合などです。これらの組織における意思決定はどうなっているのでしょうか。
最終的に費用負担をするのは国ですが、処理の過程で発生した費用は、一時的には自治体となります。補正予算など、予算計上する必要は無いのでしょうか。
また、清掃工場は23区のごみを想定していますが、自治体外のゴミを持ち込むことについての合意形成は、二十三区区長会だけで良いのでしょうか。
二十三区一部事務組合や各自治体は、災害廃棄物処理について東京都に追随するのではなく、住民を代表する議会にかけるなどすべきです。
先行受け入れを行った岩手県宮古市の災害廃棄物受け入れについては、大田区民への説明会さえ開催されていません。
⑥過剰な設備投資と余剰設備
一方で、私たちが気付かなければならないのが、なぜ、東京で当初50万トンもの災害廃棄物を受け入れられると表明したかということです。(50万トンは余力であり、災害廃棄物の焼却可能能力は10万トンに変更したようですが)
清掃工場が余剰設備を抱えているということに他なりません。
そして、これは、東京都の下水汚泥処理施設においても同様のことが言えます。
多摩流域の下水汚泥焼却灰の処理23万トンも問題なく受け入れられるのが、現在の下水汚泥処理設備があるということなのです。
⑦廃棄物処理施設が臨海部に集中することの意味
災害廃棄物受け入れは、住民の反対運動などにより、実際には思ったほどに受け入れが進んでいません。
東京都の受け入れが行われている背景に、廃棄物処理施設の立地の影響が少なくないと考えています。
清掃工場、下水汚泥処理施設、埋め立て処分場、産業廃棄物処理施設などが、臨海部に集中していますが、臨海部は、居住エリアから離れていて、目につきにくいため、廃棄物処理の影響について当時者意識を持つ人が少ないことが理由のひとつに挙げられます。
結果として、迷惑施設と呼ばれる施設の集中が、特に、大田区を中心とした臨海部に集中しています。
住民の監視が届かないことが、ずさんな処理につながらないようにしなければなりません。
⑧忘れられているコスト検証
今日、復興財源確保法が成立し、総額、10.5兆円の増税が決まりました。
●所得税は13年1月から25年間、2.1%の定率増税
●法人税は、実効税率の5%の引き下げを、事実上、向こう3年間先延ばし
●個人住民税は14年6月から10年間、1人あたり年1000円増
災害復興のための効果的な税金投入、そして、廃棄物処理についても考えていかなければなりません。