課題に取り組まない大田区、チェックできず放置する議会

〜清掃車両購入の議案から〜

議会中継はこちらから(区長提出議案提案理由説明質疑より入り8分52秒〜)

 昨年の臨時会において、清掃車を購入する議案が上程されましたが、問題があり議会でただ一人でしたが、反対しています。
 今年の臨時会において、また、清掃車を購入する議案が上程されました。

 果たして、大田区は、この一年の間に課題に取り組んだのでしょうか。
 また、議会は、そのことについてどのように審議し、判断したのでしょうか。

 今日は臨時会で上程された「小型プレス車3台の購入について」の議案の審議過程について報告します。

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 昨年の臨時会において、「小型プレス車4台の購入について」の議案に反対した理由は、下記の通りです。

■収集体制における官民のあり方は検討したのか■
 
 大田区のごみの一部は、雇上会社と言われている民間の清掃会社に委託しているが、民間委託の車は、民間事業者が購入し、民間事業者が運転手を雇い、区職員である収集職員が同乗して収集・運搬事業を行っている。
 区の直営車両と民間の雇上会社の車両の割合は、東京都が清掃事業を担ってきた時代から引き継がれている区1/3民2/3という比率に準じて、収集が行われてきた。
 大田区が、小型プレス車の購入をするということは、大田区の直営車が今後も引き続き継続することを意味する。しかし、大田区には、ごみ収集における、官民のありかたについての明確な方針がない。
 現在、大田区では、清掃事業が東京都から大田区に移管された平成14年以来、清掃職員の採用をしていない。今後も採用を見送れば、近い将来収集作業に影響がでることは明らか。

■ごみ量減少は反映されているのか■
 ごみ量も、平成19年10月からプラスチックを可燃ゴミにしたことにより、ごみ量が増えているが、それ以前は、一貫して減り続けているうえ、大田区は、いったん可燃ごみに変えた容器包装プラスチックを平成24年度から、資源として収集する計画であることを公表している。
 ごみとして収集しているプラスチックが資源になれば、ごみはさらに減ることが予想されるが、プレス車購入に、こうしたごみ量の減が反映されているのか。無駄な車両購入にならないのか。
 職員数が減り、ごみ量も減少している、いまこそ、大田区が今後の収集体制を明確に示す時だが、方針なく、無計画な購入と言わざるを得ない。

■耐用年数6年は短くないか■
 一方、現在、大田区の小型プレス車の買い替え年数は、6年だが、使用済みの車は、入札により売却されていて、たとえば、平成20年度の売却先は大田区の資源を収集しているリサイクル事業協同組合だった。
 大田区内の資源を収集する事業者が、直営の使用済みとされているプレス車を使用できるのであれば、大田区の清掃車も耐用年数を延ばし、有効活用することはできないのか。

 そこで、これらの問題を指摘したうえで、議案上程に当たり、次の3つの質問をしました。質問に対する答弁も付け加えます。

【質問1】
 今回の上程は、今後の官民の収集体制の方針や、ごみと資源量の変化、それに伴う配車体制等について検討した結果の上程でしょうか。

【答弁1】
 官民のありかたについて、ごみ量などから調整、見直ししている。

【質問2】
 であるとするならば、その基礎資料を議会に示して初めて議会としてこの議案の是非を審議できますが、資料を提出していただけませんか。できない場合はその理由をお願いします。

【質問3】
 清掃車の耐用年数について昨年私が指摘したため、現在区は、耐用年数の検討をしているということですが、いつ開始するか示されていません。1年間一体何をしてきたのでしょうか。今後の耐用年数延長の導入についてのスケジュールをお示しください。

【答弁3】
 検討している。

 質問1、2、3ともに、明確な答弁は無く、大田区の清掃事業が、今後どうなっていくのか、人員の問題、官民の在り方の問題、リサイクル方針を加味したごみ量予測の問題などについて、何一つ本会議場で示されませんでした。

 今回、プレス車を購入することが必要かどうか、議会は。様々な視点から検討しなければなりません。
①価格は適正か
②仕様は適正か(安全性、効率性、環境性能など・・)
③ごみ量にあった台数か
④官民のありかたによっては、プレス車を区が購入する必要が無くなるが、そのそも、大田区の清掃事業のありかたについて長期的な展望とは
⑤耐用年数は伸ばせないのか
等々・・・

 議場では、検討しているとあいまいな答弁でしたが、根拠となる方針等にについて資料提供が、審議の場である総務財政委員会において提供されるか再質問したところ、求めがあれば提供するという答弁を得ました。

 そこで、総務財政委員会を傍聴しましたが、委員の質問に際し、何ら、方針は示されず、しかも、所管課(=清掃事業は環境清掃部)でないので詳しいことはわからないと答弁するありさまです。

 しかも、それを擁護するようなかたちで、総務財政委員会は、契約の適否を審議すればよい。清掃事業の中身までは専門性が無いので審議できない。それは、都市環境委員会にまかせればよい。と発言する議員に制される形で、議論が終結してしまいました。

 議案を上程する大田区が、所管課でないとわからないと、議案の根源的な問題であり、既に、1年前に問題提起した課題を1年間放置していたことに驚きましたが、さらに、議員が清掃事業は専門的でわからないから、判断できないと議事録残る発言を平気でする感覚にあきれ果てました。

 耐用年数が来るたび、ごみ量にも、職員数にも関係なく、機械的に車を買い換えているだけのことなのです。

 地方分権の検討がなされる中、二元代表制である地方政府の在り方もまた、検討が始まっています。
 
 こんなことをしている議会だから議会は要らないと言われてしまうのです。
 
 しかし、議会が無ければ、何も検討しない行政はさらに劣化します。

 たった一人でも、流されることなく活動していきます。


なかのひと