大田区議会第二回定例会質問【その②TPPの大田区に与える影響について】

その①TPPの大田区に与える影響について

今や7割を超える人が反対する韓国では、米韓FTAが「韓国の民主主義の崩壊」「韓米の利益のアンバランス」「韓国の主権の侵害」「韓国の制度・法律のアメリカ化」と言われているそうです。

そこで、うかがいます。大田区議会には一切こうした情報は提供されてきませんでした。

区長は、国の動向を注視すると発言していますが、現時点までで具体的に何をし、どのような情報を得ているのでしょうか。そして、それを区民=つまり議会に示してきましたか?お答え下さい。

それでは、実際に大田区にはどのような影響があるのでしょうか。たとえば平成23年度、大田区の入札に付された工事契約総額は約110億円ですが、このうち区内、準区内が占める金額は92億円=84%にものぼります。仮に、TPP締結によって「区内産業の育成」や「過去の実績」という政策が「経済障壁」とされれば、これまで区内業者がにまわっていた約92億円は、区外企業が受注するかもしれません。

平成22年度の決算表をみると、他にも何らかの政策目的で「区内」と指定している費目は少なくありません。全額ではありませんが、文具類の需用費53億。切手類が42億。備品で5億7千万。アルバイトなどの賃金で4億。これらの調達や契約において外国企業が、参入を求めてくる可能性が無いとは言えません。そうした視点でみれば、委託費の263億円もプロポーザルによる透明性にかける選考基準で選定してきていますが、経済障壁と取られる可能性が無いとは言えないのです。一組の清掃工場建設。ごみや資源の収集運搬委託業務。現在は、直営・委託・民営化などの運営手法が混在している保育園や児童館も「民間開放」を迫られ一気に民営化が進むかもしれません。再開発や都市計画事業におけるコンサルやゼネコンのあり方も大きく変わる可能性があります。学校や保育園給食の食材調達、公共施設に設置する障がい者団体の自動販売機設置も認められなくなるかもしれません。

ある意味、政治は利権配分という機能を担っています。しかし、TPP参入によって、地方政治が利権分配機能を担う時代に終止符が打たれるかもしれません。

区長の支持基盤に大きく影響する可能性があるのです。

私は、現行の政治システムにおける、社会変化に追い付いていない旧来型の官僚と政治家そして、その背後にある資本等による利権分配機能が、現在の日本の二極化や財政赤字の一因になっていることを問題視しています。だからと言って、TPP参入という「外圧」による、主体性無き「改革」には到底賛成しえません。

TPP参入と現在日本が持つ制度疲労は別にとらえ、取り組むことが必要です。

区長は「今後、交渉の過程の中で、日本の国益と進むべき方向性が示されてくるものと思われますので、その点を十分見極めて対応してまいりたい」と言っていますが、国益と大田区の利益が全く同じでないことはこれらの事例からも明らかです。

米韓FTAを見る限り、それがTPPになれば大田区内の産業や団体への影響は多大なものがあります。政策的「区内産業・団体の保護や育成」が「経済障壁」とみなされれば、万が一の参入の際に区民生活への大ダメージが起きることは必至です。

TPPは、産業のみならず、教育、医療、福祉・・・あらゆる分野に影響を与えるとも言われています。今回の質問は、導入で、今後も引き続き、TPPの大田区各分野への影響について取り組んでまいりたいと思います。そこでうかがいます。

大田区としても、今後、あらゆる分野での区民への影響について、調査し、情報提供すべきであると考えますがいかがでしょうか。