野田首相が公約にしようとしている「TPP交渉参加」についての鈴木宣弘教授緊急提言

解散総選挙が間近と言われています。そうしたなか、野田首相は、「TPP交渉参加」を公約にしようとしています。
このTPP参加について、東京大学大学院教授鈴木宣弘氏が、緊急提言を出しました。
先日、先生の研究室に伺った際に、一人でも多くの皆さんに広げてくださいといただいて参りました。


TPP緊急提言      東京大学大学院 鈴木宣弘教授 
「TPP反対をパフォーマンスで終わらせてはならない」  コラム:おびやかされる食の安全と子どもたちを守る取り組み
http://nasu.seikatsusha.me/files/2012/11/14436d4c975c0b7be038425d253086bc1.pdf

 


TPPについて、経済のグローバル化に伴う、国際間競争における、障壁=阻害要因を取り払いましょうという約束です。
日本におけるメリットは何かと言えば、日本の企業がものを海外に売り易くしましょうということになります。
ということは、TPPの効果とは、日本で作ったものが海外でたくさん売れることです。
一方で、TPPに参加すると、締結先の国は、日本が海外にたくさん売ろうとするように、日本に物をたくさん売ろうとします。
【経済成長率とは】

ところで、「経済成長率」とは何かというのがかねてから気になっていたのですが、先日、経済総合研究所に電話をして聞いてみたところ、次のように教えて下さいました。 一般的に「経済成長率」と言うと、さまざまな指標があるのですが、特に、財務省が統計で使っている数値の出し方をうかがいました。
 経済成長率=
    民間消費+政府消費+投資(総固定資本形成)+在庫品+輸出-輸入
経済成長率と言う一つの指標で見ると、輸出が多くて輸入が少ないと経済成長率が上がることになります。

【経済成長率でみたTPPの効果】
TPPの効果について、経済成長率で見れば、輸出が増えて、輸入が減らなければなりません。
ところが、東大の鈴木先生から伺ったところによれば、現在、日本とアメリカが参入に当たり交渉している10項目の中には、アメリカからの自動車の年間輸入台数ノルマもあると聞いています。
と言うことは、自動的に、輸入枠が確保されるということで、輸入が増えますから、経済成長で言えば、マイナスからのスタートで、いかにそのマイナス分を埋め合わせられる輸出でのプラスを作れるかと言うことになります。
しかも、TPP締結により、海外製品・産品が入ってくれば、経済成長的にマイナス要因は輸入増加分だけでなく、国内生産量減という内需の減少としてダブルに計上されることになります。

財務省の貿易統計でみると、2011年、1981年から30年間黒字だった貿易収支が赤字に転落しています。
NHKの時事公論が、この貿易収支の赤字転落について面白い分析をしています。
貿易収支が赤字転落したのは、以下二つの理由だが、 ・東日本大震災により自動車産業の製造が止まり、輸出が滞ったこと ・原発が止まり、液化天然ガスの輸入が増えたこと
今後も赤字が定着する恐れがある。なぜなら、 ・製造業が競争力を失っている ・(日本の基幹産業と言われている)大手自動車メーカーの海外生産が増え国内生産が減る
TPP参入前に、日本の貿易収支が赤字に転落している理由分析が上記の通りだとするなら、次のような疑問が生じます。
日本がTPPに参入して増やす輸出品は何でしょうか?


私は、大田区議会第二回定例会でTPPの大田区に与える影響について質問しています。
TPPの一般的なことが簡単にわかると思いますので、こちらもご参考に。