指定管理者制度になって大田区の公共施設サービスは向上したか(その2)

47施設を管理する事業者指定から大田区の指定管理者制度を検証して

【大田区指定管理者導入方針】
 経営管理部は、7月31日に「大田区指定管理者導入方針」を出しましたが、その時点では、既に選定がスタートしている部署があり、結果として、今回の更改に際しての統一基準があいまいになりました。
 各部署の指定管理者制度導入後の総括を受け、大田区としての方針は、もっと早い時期に出すべきではなかっだでしょうか。

 大田区指定管理者導入方針で経営管理部は、
1.原則として公募により複数の申請者から事業計画書などを提出させてプロポーザル方式により選定する
2.特命指定する場合には明確な理由に基づいて評価し選定する。
 現指定管理者を再指定する場合には「協定内容の履行状況」「サービスの質」「経営の安定性」について評価・選定する
としていますが、新たに公募したのは、「賃貸工場」「中小企業者賃貸住宅」「区営住宅」のみで、結果として事業者がかわったのは「賃貸工場と中小企業者賃貸住宅」だけでした。

 また、今回のすべての指定を一覧表にしたところ、前回と同じ事業者になったところは、財団法人大田区産業振興協会、東京都住宅供給公社、大田区体育協会、東御市公社、それとアロマの駐車場管理の「パーク24」、プール管理の「協栄」です。
 「パーク24」「協栄」を除くと、元区長や幹部職員も含めた退職後の職員が従事していたり、大田区の職員が派遣されていたり、しているなど、大田区と関係の深い事業者がほとんどです。

 これらの関係事業者の管理運営能力や効率的運営能力を評価し、あるいは、それらを上回る政策的優位性を明らかにすることなく指定している現在の方法には問題があります。

 現在の指定管理者制度は、民間活力の導入と言いながら、協定金額が定められその範囲内での運営を強いられ、事業者の経営努力が、結果(=報酬)につながらないしくみになっているために、事業者のインセンティブがはたらかず、民間活力導入と言いながら、民間のノウハウを最大限活用できるしくみになっていません。

 特に大田区は、施設の開館時間も固定的で自主事業もほとんど認めず、「産業プラザ」と「アロマ駐車場」以外、利用料金制も採用していないため、民営による施設サービスの向上がどこにもみられません。

 経費削減がどの程度なのかも明らかにされていない、現時点において、明確になっているのが、区の負担の軽減だけでは、あまりにもお粗末です。


なかのひと