住宅修築基金の減額の是非

〜大田区議会第1回定例会に付託された主な議案から〜

 現在、大田区議会第一回定例会の最中です。
 与えられた時間を使い、現区政の問題点を指摘するとともに、その解決につながる政策を提案する一方で、上程された議案の審議を行っています。
 
 今回「大田区住宅修築資金融資基金条例の一部を改正する条例」が私の所属する都市環境委員会に付託され、私は、反対しました。

 改正案はどのような内容か、そして、私はなぜ反対したのか報告します。

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 第19号議案「大田区住宅修築資金融資基金条例の一部を改正する条例」は、住環境の保全を目的に設置された条例です。

 住宅改修・増築を希望しながら、金融機関・勤務先などで低利に融資を受けられない区民に、低利で民間の金融機関の融資を受けることにより住環境の向上や保全を行っていただくために設置された基金です。

 バブル期の高金利時代には、かなりの利用件数あったものの、最近では年4件程度と利用件数も大幅に減っています。

 その理由は、
①金利が市中金利に比べ特段有利でないこと(現在1.9%)
②保証料がかかること(1.95%)
③区の審査ののち、民間の審査を受けなければならないなど手続きが煩雑なこと
④審査が厳しく、区の条件をクリアしても金融機関の審査を通らないことがあること

などの理由があります。

 区は、貸出残高が、減ったので、基金を1億円減額するための条例改正を行おうとしていますが、貸出残高がなぜ減っているのか、住環境向上のため区民のみなさんに住宅改修・改築を行っていただくにはどうしたらよいのかという視点での検証が不十分です。

 区は、年間融資件数が4件から10件になっても、1件当たり融資額は300万円弱であり、基金残高を1億5千万円に減額しても十分な額である。使っていない基金は有効活用すると説明しています。
 金融機関にとってみれば金利0%で2億5千万円を預け入れてもらっていて、保証料は区民が支払っているため貸倒もない融資の金利が通常の住宅ローンと同程度というのでは、有利な条件ですが、逆に、区民にメリットが無い制度になっています。

 制度が時代の変遷とともに劣化しており、区民の住環境向上のために何をすべきか制度そのものを抜本的に見直す時期にきているのではないでしょうか。

 2億5千万円の基金を区民の住環境向上のために、十二分に活用していただくのであれば、
①太陽光パネル設置、屋上緑化などの住宅環境分野やバリアフリー分野に積極的に融資するとともに利子補給を行う。
②連帯保証人は不要とする
などの工夫が必要です。

 利用件数が少ないので減額するのはあまりにも安易なうえ、目的を達成できる制度になっていないことから制度の抜本改正を求め反対します。


なかのひと