大田区総合体育館条例

〜大田区議会第1回定例会に付託された主な議案から〜

大田区立特別養護老人ホームの利用料金制の課題についてはこちら

 この条例は、現在建設中の大田総合体育館が竣工するにあたり設置する条例です。設置にあたっては、指定管理者制度を導入するとともに利用料金制を採用できるようにするための条例です。

 利用料金制導入にあたりましては、メリットを最大限活用するとともに、想定できるデメリットや課題を解決できる方策を講じるよう、賛成にあたりひと言申し述べさせていただきます。
 一般的な指定管理者制度の利用料金制のメリットとしてまずあげられるのが
「努力した分、売り上げがあがるため、指定管理者の経営努力が発揮しやすくなる。」
ということです。

 体育館条例の利用料金は、入場料徴収の場合とそれ以外とに分けて設定していますが、入場料徴収の場合の方が10倍以上高く、指定管理者が収入を上げようとすれば区民利用を粗大することにもなりかねません。区民利用とともに指定管理者のインセンティブをを必要以上に阻害しないためにも入場料徴収する利用者を一定程度制限する必要があります。
 同様に、指定管理者の自主事業についても、利用料や参加料の制限を設けると同時に、自主事業枠の適正な設定が必要です。

 また、区民が開催する講座は利用料が免除されるとともに、一部、利用時間帯が優先されるなどの優遇措置が取られていますが、行き過ぎれば、他の区民利用を阻害することにもなりかねず、また、指定管理者の収入にも影響することから、利用条件や会費の徴収のルールなどの明確化が必要です。

 区の優先使用も含めた減免利用については、利用者の支払いを減免するなら、区は、その分を指定管理者に補てんし、減免の有無が指定管理者の収入に影響せず利用状況が指定管理者の収入に適切に反映するなどの工夫が必要です。

 一方で、条例提案された利用料は、旧大田区体育館の利用率を参考に、利用率が90%程度を想定して算出しています。利用料が区民にとって適正、妥当であることをチェックするため、毎指定期間終了後に、利用料の見直しを行うことが必要です。しかし、指定管理者の 努力により大幅な収入増があった場合の指定管理料の処理方法は、減額すれば指定管理者のインセンティブが機能せず、また放置すれば利用者である区民が受けるべきメリットを放置することにもなりかねないため、区民に理解の得られる適正な運用が必要です。

 指定管理者制度は、区の歳入・歳出からはずれるため、議会の関与が及ばなくなってしまい、事業の透明性が著しく低下する恐れがあります。利用料金制のメリットである適正な利用料金を採用していることを明確に区民に説明できるよう、十分な情報公開を望みます。

 一方で、指定管理者の過度な利益追求によるサービス低下を避けるために、利用者のチェックは欠かせません。指定管理者に対するマイナスの意見もきちんと区に届く精度の高いモニタリングのしくみが求められます。

 以上を要望し賛成といたします。


なかのひと