「ダム事業に初のガイドライン」に気づかなければならないこと

  八ツ場ダムに代表される建設中止方針が示されているダム事業。
 これらの事業の必要性を判断するためのガイドラインがまとまったという報道がありました。
 ダムに代わる治水対策を複数考え、ダム建設の場合と①治水効果②コスト③地域社会や環境への影響など8つの観点で比較するというもの。特に、維持管理費も含めたコストを重視するのだそうです。

 このニュースを聞いた皆さんはどのような感想を持たれますか?

=============================

 「当たり前のこと。良いんじゃないの。」
 
 そうですよね。でも、待ってください。この当たり前のことがこれまでできていなかったということなんです。

 そう。
 ダム事業に限らず、様々な事業が、そして政策が、その決定過程において、

①複数の選択肢の中から
②そのメリット、デメリットを比較し
③また、コストを明らかにした上で
④期待する将来像にどれだけ近づくのかを、費用対効果を示しながら

 判断する、決定するということを、日本の政治は国・地方を問わず、ほとんどしてきませんでした。

 Aという事業を行う時には、Aの良いところだけを示す。複数から選ぶ時の比較対象は、当て馬のようなもの。これでは決して良い政策を実現することはできませんし、より良い事業を行うこともできません。

 とりあえず始めてしまった事業が効果を上げないとわかっても、一旦ついてしまった予算をカットすることがどれほどに大変なのかは、国が事業仕分けを行わなければ、その是非を明らかに出来ないことからも明白です。そして、事業仕分けを行った事業はほんの一部で、そじょうにさえあがっていない無駄であったり効果に疑問を持つ手法がとられている事業が、国のみならず、大田区にもたくさん存在するということです。

 チェックリストを作ることは、「意思決定過程における透明性の確保」にもつながりますが、それは、その事業・政策の「到達目標(=目的)を明確にし」「費用対効果を明らかにする」ことでもあり、事業・政策の有効性を検証するツールにもなり得るのです。

 
なかのひと