地方議員年金廃止について全国市議会議長会が総務省に出そうとしている意見(案)とは

 地方議員年金廃止がもたらす地方自治体財政への影響

 支払期間12年で受給資格を得ることや、支払金額に対し、受給金額が大きいことなどから、議員特権の象徴とも言われている地方議員の年金ですが、過去に私の活動報告(「地方議会議員年金改正案に関する議長会の認識は大田区民(市民)に理解される?
」2009年11月26日)でもお伝えしているよう
に、市町村合併に伴う急激な年金受給者の増加と年金保険料払い込み議員の減少により、制度が維持できなくなっています。
 
 議員年金廃止と聞くと、特権が無くなるのだから良いことだと思われるかもしれませんが、国会議員年金廃止の時と同様、お手盛りの廃止案にならないようチェックが必要です。

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 最近の報道でも、地方議員年金廃止の話題が多くみられるようになりました。
 
 来年度にも基金が枯渇すると言われ、制度維持が不可能になっている議員年金は、これまでにも様々な議論が行われてきています。
 
 10月5日に総務省から示された議員年金制度見直しに対し、全国市議会議長会は次のような意見案を出してきました。

       地方議員年金制度の見直しについての総務省の考え方に対する             
                全国市議会議長会意見(案)      

1.既裁定者には、現行制度に基づく給付を行うこと

2.地方議員年金制度の廃止時において退職年金受給資格を有する者については、退職年金または退職一時金のいずれかの給付を受けることを選択できるようにすること

3.退職年金受給資格を有する議員が退職年金を選択した場合においては、現行制度行うこと。

4.退職一時金については、議員が納付した掛け金および特別掛け金の総額の80%を給付することととすること。

 つまり、受け取る金額は減らさない。一時金も払った額に特別掛け金(=厚いいと言われている税金投入額)を加えた額の80%を戻せ と言っているのです。

 年金制度改革が遅々として進みません。
 地方議員は年金制度をそのものを決定する権限はありません。
 また、議員年金は、年金制度でいえば年金の二階建て部分にあたり国民年金の上乗せ部分ではあります。しかし、税金の使いみちを決定する権限をもつもとのとして、はたして、これまで、自分たちの年金についてこれほどに、支払った額と受け取る額、そして、とうに給付されてしまったであろう特別掛け金までもわが身の権利として熱心に検討し国に意見を述べようとするように、国に対し年金制度改革について働きかけてきたでしょうか。

 特別区議長会より、意見を求められたため、下記の通り意見を提出しました。

      地方議会議員年金制度の見直しについての総務省の
     考え方に対する全国市議会議長会の意見(案)について
                                      
                   大田・生活者ネットワーク 大田区議会議員 奈須りえ

 高齢化により、年金制度維持は、議員年金に限らない国民的な課題である。
 もとより、議員年金は、支払い期間12年でその受給資格を得る、税投入が大きいなどから、議員特権として市民からの批判の対象となっている。
昨今の経済状況悪化に伴う、企業経営の悪化から、年金の受給額を大幅に削減する動きも出てきている。
 そうした背景において、今回全国市議会議長会が出してきた意見は、あまりに受給者、支払者である議員に有利で身勝手なものであると言わざるを得ない。
 本来、市民より納められた税の使い道を決定する立場である議員が、制度全体、あるいは、今後の税投入額の適否を見ずして、また、国民の年金制度のとの公平性について検証することなく、現行額を維持する給付を求め、また、退職一時金については、掛け金の80%という高割合を要求することは到底市民の納得を得られるものではない。お手盛りと批判されることは必至である。
 よって、廃止には賛成であるが、市民の理解を得られる内容に変更するべきである。


なかのひと