平成23年度大田区一般会計予算の課題(予算反対の理由その②)

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■基礎的自治体(大田区)の役割とは■

基礎的自治体である大田区は区民の生命や健康と安全を守り文化的で幸せな暮らしを提供するために存在します。
そして、それらを提供できるよう条例などで整備していくことが大田区の責務です。

■先送りされる課題■

しかし、残念ながら、現在の大田区はその基本的な責務が担えていません。

●命を守るための安心を提供できない大田区

 〜池上旧トーヨーボールアスベスト事前調査から〜

池上旧トーヨーボールだった建物はアスベスト査の不備がありながら放置されいま解体が行われています。

同時期に他の地域で建てられたトーヨーボールで見つかっている大量のアスベストに比べ信じられないほど少ない箇所のアスベスト届け出だけで済まされています。当初から近隣住民は再調査を求めていましたが最後まで大田区は無視し続けました。同様の事例は新宿区でもおきましたが新宿区は区が専門機関とともに立ち入りアスベスト調査をし、それによって大量のアスベストが見つかっています。
アスベストの有無が心配なので調査をすることが何故出来ないのでしょうか。調査をして有りませんでしたとする調査結果があればそれで良いのです。
そしてそれは会期最後であり廃案になることを知りながらアスベスト調査してほしいという区民の陳情を継続審議とし実質上取り組もうとしなかった区議会も同様です。
現在の大田区政は、区の責務である区民の命を守るために必要なことも出来ずにいるのです。

●開発により失われる緑を放置する大田区

緑の保全もそうです。
緑の基本計画をたてるのも良いのですが、緑が失われている原因は開発行為です。10年間で大田区が失った緑は60万㎡。それにたいしてその間大田区が買うことで守れた緑は2.5%に過ぎません。
計画をたて、言葉で緑を守り良好な住環境と言っても緑を守ることはできません。今の日本で緑を守るには開発に規制をかけなければならないのです。
「まちづくり条例」はできましたが、背の高い木を植えれば緑化面積を確保できるなどと言うまやかしの緑化規定を未だに残したままです。要綱は機動力があり必要があればいつでも変えられると言って議決を必要としない要綱で区民生活を定めながら、問題のある要綱を放置する姿勢に区民は失望しています。

●限界のある土地購入による緑の保全

こうして緑を守ることもせず、緑地や公園用地の確保として土地を買っていたのでは大田区財政がいくらあっても足りません。

●区民に見せない土地購入価格の評価根拠

しかも、土地の評価も不動産鑑定や財産価格審議会の議事録が区民に非開示のため適正な価格なのかを確認するすべを区民は持ちません。大田体育館隣地の訴訟の際に訴訟をして初めて不動産鑑定報告書が公開されましたが、みたいだだいた不動産鑑定士は鑑定基準にのっとっていない方法で行われていると驚いていました。
東京都の補助金を請求する際に求められて添付した不動産鑑定書は2通。1社の鑑定書だけでは東京都の補助金請求の際の適正な不動産価格かどうかの証明にもならないということです。
しかし、仮に、価格が適正であっても財政が悪化している中で行うべきことを誤ってはいけません。現在、大田区政は入ってくる税収だけでは足りず基金を取り崩して区政を執行しています。右肩上がりの時には買ってよかった土地が今も買うべきであるとはならないのです。

●民営化民間委託等により更に見えにくくなっている大田区財政

これまで大田区だけではありませんでしたが自治体財政は非常に区民から見えにくくなっています。そして、先日の職員定数の問題提起から、大田区自身もいったい大田区を何人で担っているのかと言う基本的なことすら把握できていないことがわかりました。
人だけでなく、新しい制度の導入により財政規模も曖昧になっています。
指定管理者制度導入した施設の利用料金は区財政には算入されません。産業プラザも区立特養も利用料金制を導入していますから数十億と言う金額が大田区財政の外になっています。
人に限らず財政をもっと区民に見えるようにしていかなければなりません。

■区民の生命・健康・安全を守り文化的な暮らしを保障するのが大田区の責務■

〜羽田空港跡地開発は都や国の役割・財源の見通しの無い駅前再開発〜

この先も生産人口はますます少なくなり、よほどの景況の上向きがなければ税収増は望めません。生産人口が減るのですからマイナス成長が当たり前の時代です。
しかし、需要は伸びていきます。
今後の財政状況が飛躍的に好転することが期待できない中、基礎的自治体である大田区がまず優先することは、その責務である区民の命と健康、安全を守り文化的な暮らしを保障することです。
しかし、ざきほどから述べているように大田区はその責務を先送りにし、跡地開発や駅前再開発に目が向いています。
跡地利用は東京都や国が行うべきことで大田区の苦しい財源を投入して跡地を買い取り組むべきことではありません。
区民は毎日の暮らしに、そして将来に大きな不安を寄せています。
計画をたてるだけでなく、基礎的自治体としてなすべきことをまずは行うことが大切です。

提案された予算では、現在の大田区の抱えている課題を解決し区民生活を改善することにはなり得ず、逆に更なる財政悪化と大田区政の課題放置につながると考え反対します。