大田区民として決算をどう考えるか(前半):大田区平成22年度決算に反対しました

大田生活者ネットワーク奈須りえです。

ただいま上程されました第53号議案 平成22年度大田区一般会計歳入歳出決算の認定に反対し、第54号議案から第57号議案までの決算の認定に対し賛成いたします。

平成21年度決算の認定において、大田生活者ネットワークは、大田区に議員を出し活動して初めて反対いたしました。

昨年度の決算認定の視点は、次の4点でした。
①法令順守や規律ある区政が執行されているかどうかという視点
②公平性、競争性の視点  
③効率性の問題
④意思決定過程が不明という問題

これらの視点で、平成21年度決算を点検した時、問題のある区政運営が、結果として、組織の硬直化を招き、緊急性の無いばらまき的な事業を増やし、財政を悪化させていると指摘。大田区政の将来に禍根を残さないため、警鐘の意味を込め、あえて決算の認定に反対したわけです。

それでは、私の警鐘は、その後の大田区政執行において、何ら改善策を講じることにつながったでしょうか。

先日の決算委員会において、おわかりいただけましたとおり、大田区財政は、平成21年度に増し、急激に悪化をしています。
平成21年度、適正と呼ばれる経常収支比率70〜80%をわずかに上回っていた大田区ですが、平成22年度は大きく超えてしまいました。

問題は、その要因です。

大田区は、これまで、区財政悪化の要因を、リーマンショック後の景気の悪化。それに伴う生活保護世帯の増加。高齢化など、全て外的要因としてきました。

しかし、今回の決算委員会において、その要因が、外的要因だけではないことが明らかになっています。
生活保護は増えていますが、23区平均並みで推移してきていますし、高齢化も同じです。

外的要因だけでは、大田区だけが経常収支比率を大きく悪化させた説明にはならないにもかかわらず、大田区が、その理由を外的要因だけにとどめ、問題ある区政運営を改善しようとしていないことにこそ、問題があると考えます。

例えば、私は、大田区が、23区平均に比べ、人件費率の下がり方が少ないと指摘しました。

これのどこが問題かと言えば、第一に、定数管理がきちんとできていないということです。
非常勤も、再任用も、アルバイトも、何人分の仕事をしているのか、きちんと把握をしなければなりませ
ん。正規職員数の増減で大田区の効率化をはかる時代では無いのです。

一方で、問題なのは、外部化との関係です。

今回、私は、人件費率が他区に比べ下がっていないという指摘と、外部化した委託費合計の推移に増減があるという指摘だけにとどめ、その要因を分析解明する必要があると指摘しました。

しかし、私は、実は、外部化は、効率化とイコールでは無いのではないかという問題意識を持っています。
漫然と外部化してもコストは下がらないということです。

外部化すれば、人件費は下がりますが、それは、給料の高い人から安い人へ変えたのですからあたりまえです。
しかし、外部化すれば、反対に事業者募集の手間や、日常管理、モニタリングなど、最終的にどうしても削減できないコストが増えます。
また、委託費には民間企業の利益も含まれます。

例えば、現在の大田区の保育園は、保育士の採用が抑制されているので高齢化しているため、コスト高ですが、保育士の年齢がバランスよく配置されていれば、コストは下がります。

こうしたモデルと民営化モデルを比較することを大田区では行っていません。

また、外部化のメリットは、コストだけでははかれません。
コスト削減とサービス向上のバランスを考え、どちらが区民にとり優位であるかという判断が必要です。

大田区は、これまで、福祉や公園管理、給食など現場の仕事を外部化してきました。
また、施設の管理も次々指定管理者制度を採用しています。
PFIにより民間ノウハウを活用し、コンサルに委託して政策立案さえ外部化。
また、スクラップ&ビルトと言いますが、そのスクラップ=事業の改廃さえ自ら行うことができず、事業仕訳的手法による行政評価にたよっているのです。

このまま、外部化が進んだ時、大田区という行政機構機能に、何が残るのでしょうか。
最後に残るのは、それら契約を行う利権分配機能だけかと揶揄したくなります。

何を公共が担うのかという民営化。どのような主体が担うのかと言う民間委託。そして、どのような手法により担うのかという指定管理者制度や利用料金制。これらについて、検証した上で、サービス向上とコスト削減とから総合的に判断する時期に来ているのではないでしょうか。

平成21年度から特に大きな財政影響を与えるようになった、指定管理者制度の利用料金制が、大田区の外部化効果をみえにくいものにしているとともに、財政規模を曖昧にしています。
一見、人件費・委託費の合計が下がり、外部化がうまくいっているようでも、そうなっていない現実を直視する必要があります。

また、以前から指摘させていただいており、昨年の決算の際にも問題視した入札制度改革も、遅々として進みません。

区内企業という指名競争入札のしくみが、大田区の入札を高止まりさせていることを直視する必要があります。
何故、区内なのかという原点に立ち返れば、区内産業育成が、区内企業だけの競争で、育成になるはずもなく、区外企業との競争に勝って初めて、区内産業は大きく育ちます。
大田区における入札のしくみは、逆に区内企業をいたずらに保護し、競争性の無いものにしていないでしょうか。
他自治体に比べ、大田区の施設改修費割合が大きく高いことがそれを示してはいないでしょうか。

区内産業の育成からの視点でも、また、区内雇用、受発注の経済波及効果を求めるとしても、そこを明確にした入札のしくみ=一般競争入札において区内業者に限定せず、区外からの応募も可能にしたうえ、区内の雇用や受発注を評価する方法など=改善が必要です

続き:後半はこちら