大田区民として決算をどう考えるか(後半):大田区平成22年度決算に反対しました

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さて、23区では大きく下げた経常収支比率ですが、市部では、今年度改善した自治体もあったと聞いています。
都区財政調整制度の下での財政と、国との間の財政調整による交付金交付とでは異なるのかもしれませんが、国家財政が厳しく日本が同じ状況にあるとすれば、自治体努力の差という影響も少なくないのではないかと、十分な検証はしていませんが、感じています。

23区の財政が厳しいという指摘をさせていただきましたが、市部の、あるいは、全国自治体の財政状況を見るにつけ、23区は、恵まれた財政下に置かれていると痛感します。そして、その日本でも特別な財政状況が、23区の経営努力を口先だけのものとし、遅らせてきてはいないかと懸念しています。

人件費管理、民営化効果の検証と委託費管理、入札制度改革、財産運用。
これらは、何を政策選択するかという以前の大田区の経営上、行わなければならない問題です。

政策選択は、目指すべき社会や、想定する効果の違いにより、違いがあって当然ですが、人件費管理、民営化効果の検証と委託費管理、入札制度改革、財産運用、特に、今後の、来る労働力人口減少と低成長時代を前に、必ず大田区が取り組まなければならないことなのです。

これらを放置したまま、大田区政が執行されれば、その次に待っているのは、例えば、未活用施設のシルバー住宅転換や区民住宅のグルー保育室転用などの小手先の資産運用です。

また、今後行われるのではないかと大変心配しているのが、保養地としては一等地にある区有財産=旧伊豆高原荘の売却や、野辺山学園の廃止、マルエツ隣のかぎ型の土地ではありますが、立地としては区内一等地の活用方法などです。

本来取り組むべきは、一泊¥3000の指定保養施設補助制度の廃止や、区民利用がほとんどない、行くのも大変な休養村とうぶ廃止を検討すべきであって、反対に大田区産業振興協会(財団)で行っている福利厚生制度の無い勤労者向けの互助制度を拡充したり、高齢者向け保養制度を検討すべきです。蒲田五丁目開発、大森駅前旧北一丁目開発のように、区内一等地を20年、50年もの長期間にわたり、民間に貸し出すことではありません。旧西行政センターのように民間企業に優位に売却することではないはずです。

更に、総務省は、土地開発公社経営健全化対策の、土地開発公社経営健全化対策措置要領の中で、財政健全化対策措置要領の中で、財政健全化方針や、用地取得・処分・保有計画を平成24年度までに示すよう記しています。第二回定例会において生活者ネットワーク北澤議員がこの件につきまして議案質疑いたしましたが、未だ策定されていません。

大田区が、こうした、未利用・未活用資産全体の十分な活用方針、計画も無いままに、空港跡地活用に目が向いていることに、大田区財政運営・経営上の大きな危機感を持っています。

先週末に、跡地取得費用が計画に掲載されていないが、いくらを想定しているのかと跡地活用担当課に問い合わせたところ、まだ決まっていないといわれ、更に確認したところ、未だに、返答をいただいていません。

中には、100億円程度と答弁しているのを聞いたという議員もいますが、そうした、今後政策決定に大きな影響を与える数値さえ、問い合わせに答えられない状況で健全な財政運営はできるのでしょうか。

財政が悪化し、厳しいとはいえ、まだまだ、大田区が努力し改善する余地があるわけですが、それらが、放置され、かけ声だけのスクラップ&ビルトとマイナスシーリングが繰り返されれば、結果としてもたらされるのは区民サービスの低下です。

今後の区政運営に、そして、来る来年の予算に反映していただくために、今、生活者ネットワークが、そして私がなすべきは、条件付きの賛成という問題の本質からの回避ではないと考え、経営改革を期待して反対討論といたします。