通信制高校という選択の現場で〜明蓬館高校の事例から〜

通信制高校の本部が、品川区にあることを知りました。
大田区から通う生徒も少なくないそうです。

それまで、認識不足だった通信制高校ですが、明蓬館高校の日野理事長からお話しをうかがい、多くのことを学ばせていただきました。

現在の通信制高校や明蓬館高校に通う生徒の状況からみえた問題について報告します。

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明蓬館高校は私立の通信制高校です。
事業主体は㈱アットマーク・ラーニング。特区を利用し株式会社が、学校教育事業を担っています。

日本には、現在、各都道府県に1〜3校の公立の通信制高校があり、合計で約120校。
ほかに、私立の通信制高校が100校程度あり、その100校のうち、20校が、㈱アットマークラーニングのように、特区認定された学校です。

㈱アットマーク・ラーニングは、現在、

①日本の高校教育課程を修了できる「明蓬館高校」
②日本とアメリカ両方の卒業資格のとれる「アットマーク国際高等学校」
③ワシントン州本校の高校卒業資格に加え日本の高校の卒業程度認定資格を取得できる「東京インターハイスクール」

の3つの通信制高校を運営しています。

通信制高校は、基本的には、通学をせず、自宅で学習が可能です。
現在は、インターネットで学習し、ほかに、年4日ほどのスクーリングを受けることで、卒業資格が付与され、3年で卒業できます。

スクーリングは、特区により取得した、石川県と福岡県の廃校を利用したキャンパスで
行っています。

どのような理由で通信制を選んでいるのかうかがったところ、

①発達障害
②経済的理由
③学校が合わない
④国際結婚
⑤ほか

などの理由をあげておられました。
発達障害が多いと聞き、率直に、驚きました。

また、専門学校のサポート校として、専門学校卒業と同時に高校卒業資格を付与できるよう専門学校と提携もしているそうです。

学費は、年間約70万円。これに加え、所得により就学援助金が受けられます。

今年の生徒総数は約500人。そのうち、約6割は関東に在住しています。

通学の必要はありませんが、品川の学校本部に35から40人、石川県のキャンパスに60人、福岡県のキャンパスには15人が登校してきています。

私が理事長とお話ししている間も、生徒同士、あるいは、先生と生徒との話声が聞えていていました。

来年度の入学に向け、問い合わせが始まっているようですが、このままいくと、100名程度生徒が増えるのではないかということでした。

ニーズが高まっていると言うことです。

就学援助が受けられるとはいえ、年間70万円の学費は決して安いものではありません。それでも、高校卒業資格をとりたい、進学したいというニーズは少なく無く、しかも、既存の学校教育で答えられていない教育ニーズにこたえる形で、500人もの生徒が通信制高校を選択しているのです。

70万円の学費を支払うことのできない、しかも、既存の学校教育制度の中で、十分な教育を受けられない生徒たちは、どこへ行くのでしょうか。

学歴があれば、将来をある程度保障される時代は過去のものとなりました。

しかし、これは学歴偏重でなくなったいことを意味するのとも違います。学歴があったとしても就労を確保することが困難な、さらに厳しい時代に入ったと言えるでしょう。

学校でも、様々なニーズに対応するため、勉強だけでは無い、心理、社会性、体調、友人、進学、就労などの側面からのサポートを試みているそうです。

学校教育制度では担えない生徒たちの一部の受け皿になっているのが、こうした通信制高校であることを知りました。