バリアフリーのまちづくりのコーディネーター

シルバー産業新聞 掲載12

 シルバー産業新聞の掲載も最終回になりました。
 
 
 この連載も今回で最終回を迎える。
 連載をしたことで「人にやさしいまちづくりを進める大田区民の会(やさしいまちづくりの会)」の活動の意義や運営について考えるよい機会を与えられた。
 この一年間、特に新たな事業は行わなかったが、設立以来取り組んできた、一見、解決や達成が困難に思えていた課題がここに来て、少しずつ良い方向に向かって動き始めている。
 
 最も大きな収穫は、このシルバー産業新聞掲載をきっかけにした区内外を問わない多くの方々や事業者などと繋がりを持てたことだろう。
 まちのバリアを体感している当事者が声をあげることから始まった「やさしいまちづくりの会」が、単に声をあげるだけではなく問題の所在を明らかにし、ふさわしい対象に提案と共に辛抱強く働きかけるという過程で、多くの支援者を得たことは、「やさしいまちづくりの会」の大きな財産になっている。
 特に象徴的なのが、JR蒲田駅周辺のバリアフリー点検を行った際に明らかになった駅ビルに設置された階段昇降機の問題意だ。
 インターホンで係りを呼び出し、介助無しでは運転できない不自由さは、機器の改修で簡単に解決できるのではないかと思えたが、それほど簡単なわけにはいかなかった。
 現状把握。専門家を交えての学習会。建築基準法の確認。東京都における実体の調査。設置者との意見交換・・・等等。
 ここに記せばほんの数行の作業の過程だが、どこに何を聞けばよいのか糸口さえ見つからない中、シルバー産業新聞掲載をきっかけに広がった人の輪に大きく助けられた。
 その結果、先日ようやく「やさしいまちづくりの会」と「鉄道事業者」と「大田区」とが定期的に懇談会を開く合意を取り付けるところまでたどりつくことができた。
 現在の段階では、懇談会の定期的な開催をすることが決まっただけで、問題が解決される保障はどこにも無い。しかし、階段昇降機という福祉機器の運用方法だったこの問題を、蒲田駅の東西自由通行をどのように考えるかという問題として、そこに必要な「市民」と「事業者」と「行政」とを繋ぎ、問題を共有する場を作ることができたのは、当事者である私たち「やさしいまちづくりの会」の大きな成果だと思っている。
 私たち自身、私たちと同様の活動の情報について知る機会は意外に多くない。 
 これまでご紹介してきた「やさしいまちづくりの会」の活動の内容や抱える様々な悩みを皆さんはどのように感じられただろうか。

 「やさしいまちづくりの会」ではようやくホームページを作成する予算を確保することが出来た。今後は、ホームページを通じ、是非、皆さんの活動についてもお知らせいただくとともに、いっしょに「やさしいまち」を作っていきましょう。
 一年間ありがとうございました。

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