「建築概要書」大田区と東京都の取り扱いの違いとその理由・課題

建物を建てるには建築確認を申請します。

確認申請の際に、確認の申請者により、その建築物の

①所在地
②建築主
③建築会社
④土地面積
⑤建築面積
⑥計画の区画
⑦平面図
⑧地盤の高さ
…などが記されている「建築概要書」という文書が作成されます。

この建築概要書は、確認が民間、自治体(=特定行政庁)を問わず作成され、民間確認であれば、設計図面などの設計図書は民間確認機関に保存されますが、この「建築概要書」だけは、確認を所管する自治体(=特定行政庁)に保管されます。

建築に関わる地域住民説明会で建築の図面が示されることもありますが、確認が降りる前に説明会が行われることから、最終的な建築内容と異なる場合もあり、部分的な情報ではありますが概要書の内容を知ることにより、それでも一部ではありますが、より確かで詳しい情報を得ることが出来ます。

建築に関わる影響を周辺住民が知りたい場合などにはこの概要書を見ることでその一部を知ることが出来るのです。

大田区では、この「建築概要書」を請求に応じて、一部の場合を除き、即日、写しの交付や閲覧ができるようになっています。
 大田区内に建設される建物は、その確認が民間、大田区を問わず請求すれば写しの交付を受けられるのです。

 ところが、先日、この交付に例外があることが判明しました。

 延べ床面積が10,000㎡を越える建物の確認申請の所管は、それが民間確認であっても、東京都になっているため「建築概要書」は東京都が保管しています。
この10,000㎡以上の建物の建築概要書について東京都は、閲覧を許していますが写しの交付をしていないのです。

 東京都は、開示請求すれば公開するとしていますが、開示請求すると交付までに2週間以内という決まりはありますが時間がかかります。また、少なくとも申請と受け取りの2回、直接、東京都に行かなければなりません。

 大田区では即日写しの交付をしているにも関わらず東京都で出来ない理由は何でしょうか。
 建築面積10,000㎡以上と言えば、周辺に与える影響もそれ未満の建物に比べ当然大きく、都民(=大田区民)の生活に与える影響を考えれば、写しは交付すべきではないでしょうか。

 大田区では、一部、事業者が、営業目的で申請することがあり、大量申請などからそうした申請目的が分かる場合には交付を拒むことがあると言っています。
しかし、それでも写しの交付は行っています。

 東京都が「建築概要書」の写しを即日交付しないのは、情報公開が遅れているのか、都民の生活環境への意識が低いのか、都民へのサービス意識が低いのか。いずれにしても改善が求められます。

 一方の大田区も、この東京都所管の「建築概要書」は、民間確認機関から大田区を経由し東京都に送付することになっているため「便宜上」コピーをとって保管している。と言いますが、区内の建築物であれば、大田区として保管し交付の対象とすべきです。

 そもそも、多くの建築・開発に関わり面積・規模をもって基礎的自治体と都道府県の所管わけをしていますが、民間確認が進む現在においては、東京都として大規模であることでの政策的判断はほとんど無く、所管分けの本質的な意義が乏しくなっています。


なかのひと