PFIで行う田原リサイクルセンター整備事業≪大田区で採用しないBOT方式を採用した田原市の理由≫

今年も都市環境委員会の視察先として真鶴市、横浜市を提案しましたが、却下。

そこで、次に提案した鞆の浦も市長選挙のため受け入れが難しく、景観という視点で視察先になったのが、近江八幡市。ほか、清掃事業として、田原市、自然エネルギー・環境政策として恵那市の小水力発電。この三ヶ所に行きました。

その中から、PFIで行う田原市の清掃事業についてご報告します。
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それまで、ゴミをRDF(Refuse Derived Fuel:廃棄物からできた燃料)化することで処理していた田原市でしたが、施設の老朽化に伴い、建て替えることになりました。

田原市の人口は6万6千人。現在の可燃ゴミごみ排出量が年間で9680t/平成22年度(田原市ごみ処理基本計画平成24年2月作成より)です。

環境省は、日量300t以上の施設にしか補助金を出さない方針で、田原市の規模であれば、周辺自治体と共同処理することが求められますが、お隣の豊橋市が既に日量200t×2基の焼却施設を建設したばかりだったこともあり、田原市独自での施設設置が認められたという経緯があります。

■PFIで可燃物処理施設を建設運営■

結果、田原市では、30t×2基の流動式ゴミの炭化施設を、PFIにより建設・運営しています。

PFI事業とは、民間の資金、ノウハウを活用し、公共施設の建設から運営までを行うしくみです。大田区でも、伊豆公園学園をPFIで建設することに決めたばかりです。
大田区では、BTO(Build〈建てて〉-Transfer〈所有権を移転して〉-Operate〈管理・運営する〉)方式を採用し、建設直後に所有権を移転し、その後、大田区の施設の運営を任せるというしくみですが、田原市では、BOT(Build〈建てて〉-Operate〈管理・運営して〉T―ransfer〈所有権を移転する〉)を採用していました。

【炭生館】 可燃ゴミを炭化炉に入れ、不燃物、鉄、アルミを回収し、残った炭を活用するシステム。

①出口(出来た炭の活用先)までをPFIで確保  

  PFI事業者の構成員とその役割分担

 日本ガイシ:プラント設備の設計、施工、維持管理

 大成建設:建設設備の設計、施行、維持管理

 セントラルリース:ファイナンス、経理事務  

    中部鋼鈑:炭化物の利用、回収された金属類のリサイクル  

  テクノ中部:環境アセスメント、測定分析  

 

②建設後、15年間所有、運営維持管理したのち、施設の所有権をSPC事業者に移転するBOT方式を採用。

これで、田原市では、それまでの処理費用より31%削減できたという説明でした。
技術的な知識が十分にありませんが、通常の焼却施設と比較して「施設は非常に簡素」だったこと、また、焼却施設でコスト削減の際に技術を持った職員の有無が課題となりますが、この「施設の職員はプラントメーカーの職員ではありません」でした。

人口6万6千人と言えば、大田区のほぼ1/10で、この施設の費用が15年で100億円です。人口69万人から排出される可燃ゴミの焼却に年間約30億の分担金を支払っている大田区と比べれば必ずしもコスト的に優位な仕組みとは言えないかもしれません。

しかし、PFIをどのように活用することで、市民に利益を還元できるか、また、民間事業者の力を引き出せるかを良く考えて採用していると感じました。