自治体の地球温暖化対策

ゴミ焼却・リサイクル

 京都議定書が発効して2年になりましたが、6%の削減目標を達成するどころか、現在も温室効果ガスは増加しており、地球温暖化は更に深刻な状況になっています。
 こうした中でスタートしようとしている、大田区のプラスチック焼却の政策判断は、正しかったのでしょうか。

 大田区ではすべての小中学校への冷房の設置が終了しますが、暑さ対策をエアコンだけに頼ることなく、学校の緑化や省エネ仕様の校舎など総合的な温暖化防止策により、少なくとも排出量分の、そして、更なる温暖化ガスの削減をするなど、具体的な数値目標による温暖化ガス排出抑制策が求められます。

 私は、プラスチック焼却の方針発表に対して、燃やす前に容器包装リサイクル法でプラマークのついているその他プラスチックのリサイクルを大田区として拡大すべきと提案しています。

 今回のプラスチック焼却は、温暖化ガズ・ダイオキシンの排出量増加、ごみの発生抑制が働かないという点でも大きな問題です。

 区長は、昨年、生活者ネットワークが行った二十三区区長に対する廃プラスチックの焼却に関する意向調査に対し、必要と思うが当面取り組むつもりがないと答えています。経済性を考慮すると言うコメントも有りますが、議会答弁では、コスト計算を意味の無い作業であるとしています。民間企業が経営方針の変更・選択をする場合に、コスト計算なしに行うことがあるのでしょうか。コスト計算無しにプラスチック焼却の経済優位性を語ることができるのでしょうか。

 単なるリサイクルの取り組みでは当然コストはアップしますが、ゴミ削減による清掃工場の削減と、容器包装リサイクル法の拡大による排出抑制により最終的には経費的にも優位にならないでしょうか。中長期的展望で考えれば、ここでリサイクルを行なわなければ、ゴミ問題は、更に悪化するばかりです。

 先日、大田清掃工場の建て替えの説明会が行なわれましたが、焼却能力に対する適正ごみ量の把握が曖昧で、質問に対し東京二十三区清掃一部事務組合は明確な数字を示すことができませんでした。
 
 清掃工場の施設整備計画は、各区から出されるごみ量に大きく影響されるわけですが、容器包装リサイクル法のその他プラスチック=シャンプーやリンスのボトル、お菓子の容器などのその他プラスチックのリサイクルをするか、しないかによって、23区全体で年間40万トンものごみ量の相違があります。
 
 現在、23区のうち既に9区が、シャンプーやリンスのボトル、お菓子の袋にプラマークのついている容器包装リサイクル法対象のその他プラスチックのリサイクルを行なうと発表しています。
 施設整備計画では、大田清掃工場は日量600㌧の炉が二基。一部事務組合の出す、年間稼働日数293日と焼却余力7%で計算すると約32万7千トンという膨大なごみを処理できる工場です。日量300㌧の多摩川清掃工場もあわせると年間で40万㌧ものごみが処理できることになります。大田区で排出するごみ量が20万トン。他区のごみの搬入を考慮しても、はたしてこれほどの大規模の焼却工場が現時点でも必要であるといえるのでしょうか。次々とリサイクルに取り組む区が増えていく中、前提となっている受け入れごみ量も大きく変化している現状で、平成22年の建替えは必要なのでしょうか、根拠もあいまいです。工場建替え規模の縮小を大田区として求めるべきです。

 区民への説明も充分行なわれないままに生産と消費から廃棄に至るまでのシステムに影響を与える、大量生産、大量消費、大量廃棄に拍車をかけるようなプラスチック焼却を導入してよいのでしょうか。大田工場の縮小のためにも改めて質問しますが速やかに容器包装リサイクル法に定められているプラスチックのリサイクルに全面的に取り組むべきです。